17:15 〜 18:30
[MIS34-P73] 2016年熊本地震における断層近傍強震動の生成メカニズムの解明
キーワード:2016熊本地震、強震動、特性化震源モデル
1.はじめに
2016年4月16日1時25分に気象庁マグニチュード7.3 (Mw7.0)の地震が熊本県で発生した。この地震により益城町と西原村で最大震度7を観測し、甚大な建物被害も発生した。益城町および西原村を含めた断層近傍における強震動が複数観測されており、それらを解析することで、本地震の強震動の生成メカニズムが解明できることが期待される。本研究では、広帯域の強震動を説明できる特性化震源モデルの構築を目的としているが、本稿では、強震動記録(対象周波数:0.05-0.5Hz)を用いた震源インバージョン結果について報告する。なお、本発表は速報的なもので、今後などで結果が変わる可能性がある。
2.強震動記録の震源インバージョンと特性化震源モデル
KiK-net、K-NET、気象庁、地方自治体から提供されている本震記録を用いて、震源インバージョンを行った。対象とした観測点は、この内16観測点である。
解析データは、速度波形とし、対象周波数は0.05-0.5Hzとした。
必要となる理論グリーン関数は、離散化波数法(Bouchone(1981))により計算した。なお、速度構造モデルは、防災科研から提供されているボーリングデータと深部地盤速度構造モデル、深部構造は福山他(1998)の構造モデルを利用し、小地震によるチューニングはしていない。
震源インバージョンの解析方法は、マルチタイムウィンドウ線形波形インバージョン法(Hartzell and Heaton, 1983)に基づき、断層破壊過程を時空間的に離散した。断層面は、長さ46km、幅16km、走向235度、傾斜88度とした。また小断層サイズは2km四方とした。すべり速度関数の基底関数は、ライズタイム1秒のSmoothed ramp functionを0.5秒間隔で6個配置した。すべり方向の変化は、-154度±45度とした。
インバージョンで得られたすべり分布とすべり速度分布を参考にして、強震動記録を説明するための特性化震源モデルを構築する。
3.解析結果
解析から得られたすべり量分布から、破壊開始点から北東に向かって破壊が進行した傾向がみられる。すべり角はほぼ180度となり、地表地震断層でみられる左横ずれと一致する。すべり量の大きい場所は、益城町や西原村の直下に位置する地表付近および断層の深い部分であった。
観測波形と計算波形の比較として興味深い部分として、益城町では、KiK-net観測点と益城町役場にて観測記録が得られており計算を実施しているが、KiK-net観測点では、NS成分EW成分ともに非常によく観測を満足する結果が得られているものの、益城町役場の観測点では、NS成分の合いはよいが、EW成分はかなり過小評価である。これは、西原村の結果と同様の傾向である。益城町や西原村の役場の観測記録では、フリングステップが観測されている可能性が指摘されているため、その傾向も視野にいれ分析する予定である。
2016年4月16日1時25分に気象庁マグニチュード7.3 (Mw7.0)の地震が熊本県で発生した。この地震により益城町と西原村で最大震度7を観測し、甚大な建物被害も発生した。益城町および西原村を含めた断層近傍における強震動が複数観測されており、それらを解析することで、本地震の強震動の生成メカニズムが解明できることが期待される。本研究では、広帯域の強震動を説明できる特性化震源モデルの構築を目的としているが、本稿では、強震動記録(対象周波数:0.05-0.5Hz)を用いた震源インバージョン結果について報告する。なお、本発表は速報的なもので、今後などで結果が変わる可能性がある。
2.強震動記録の震源インバージョンと特性化震源モデル
KiK-net、K-NET、気象庁、地方自治体から提供されている本震記録を用いて、震源インバージョンを行った。対象とした観測点は、この内16観測点である。
解析データは、速度波形とし、対象周波数は0.05-0.5Hzとした。
必要となる理論グリーン関数は、離散化波数法(Bouchone(1981))により計算した。なお、速度構造モデルは、防災科研から提供されているボーリングデータと深部地盤速度構造モデル、深部構造は福山他(1998)の構造モデルを利用し、小地震によるチューニングはしていない。
震源インバージョンの解析方法は、マルチタイムウィンドウ線形波形インバージョン法(Hartzell and Heaton, 1983)に基づき、断層破壊過程を時空間的に離散した。断層面は、長さ46km、幅16km、走向235度、傾斜88度とした。また小断層サイズは2km四方とした。すべり速度関数の基底関数は、ライズタイム1秒のSmoothed ramp functionを0.5秒間隔で6個配置した。すべり方向の変化は、-154度±45度とした。
インバージョンで得られたすべり分布とすべり速度分布を参考にして、強震動記録を説明するための特性化震源モデルを構築する。
3.解析結果
解析から得られたすべり量分布から、破壊開始点から北東に向かって破壊が進行した傾向がみられる。すべり角はほぼ180度となり、地表地震断層でみられる左横ずれと一致する。すべり量の大きい場所は、益城町や西原村の直下に位置する地表付近および断層の深い部分であった。
観測波形と計算波形の比較として興味深い部分として、益城町では、KiK-net観測点と益城町役場にて観測記録が得られており計算を実施しているが、KiK-net観測点では、NS成分EW成分ともに非常によく観測を満足する結果が得られているものの、益城町役場の観測点では、NS成分の合いはよいが、EW成分はかなり過小評価である。これは、西原村の結果と同様の傾向である。益城町や西原村の役場の観測記録では、フリングステップが観測されている可能性が指摘されているため、その傾向も視野にいれ分析する予定である。