[M-IS34] 2016年熊本地震および関連する地殻活動

[MIS34-P76] 2016年熊本地震の余震による強震動の臨時強震観測

*地元 孝輔¹、山中 浩明¹、津野 靖士²、三宅 弘恵³、山田 伸之⁴ (1.東京工業大学　環境・社会理工学院、2.鉄道総合技術研究所、3.東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター、4.福岡教育大学)

キーワード：2016年熊本地震、臨時強震観測、余震

平成28年熊本地震では，震度7が観測され，熊本県内では多数の家屋の倒壊や，大規模な土砂崩壊が確認されている．この地震による余震活動は活発であり，震度１以上の揺れは1000回以上観測されていることが気象庁により報告されている．そこで，甚大な被害の原因を明らかにするため，益城町，西原村，熊本市，南阿蘇村などで余震の臨時強震観測を実施している．
2016年4月16日から臨時強震観測点の設置を開始した．益城町内では，震度７を記録した益城町役場，およびKiK-net益城の付近に観測点を設けた．また，家屋被害が目立った県道28号線沿いと県道の南側および県道の北側にも観測点を設置した．さらに，断層直交方向の線状にも敷設した．そのほかには，西原村役場や南阿蘇村の黒川地区の周辺，熊本市の東西方向の線上にも観測点を設けている．使用した機械は，ミツトヨ製加速度計JEP-6A3（感度は10V/Gまたは2V/G），白山工業製ロガーLS7000XTまたはLS8800である．100Hzサンプリングのオフライン連続観測とし，GPSによる時刻補正を行っている．
これまでのところ，主に益城町内の臨時強震観測点のデータを回収した．それらのなかには，気象庁マグニチュードが5以上の余震，計測震度4程度の記録が含まれている．益城町内での地震動の空間変化は大きいことがわかった．益城町役場では，KiK-net益城よりも振幅が大きい傾向がみられ，県道28号の南側では，益城町役場に比べても最大加速度や最大速度が2倍以上にもなる記録がある．益城町の中央に広がる水田地域や北側の台地では益城町役場に比べて同程度か小さい傾向がみられる．減衰5%応答スペクトルでは，益城町役場や，県道28号沿い，および県道の南側の観測点では，周期およそ0.5秒の成分が卓越する．
今後は，すべての臨時強震観測点のデータの回収および分析を行い，同様に地震動の空間変化について調べる．さらに，各観測点では微動アレイ探査を実施し地盤構造を推定している．地盤条件と観測された地盤震動特性について検討する予定である．

本研究の一部は，科学研究費補助金「2016 年熊本地震と関連する活動に関する総合調査」（代表：清水洋）の支援によって実施されたものである．