日本地球惑星科学連合2016年大会

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ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS34] 2016年熊本地震および関連する地殻活動

2016年5月26日(木) 15:30 〜 16:45 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

17:15 〜 18:30

[MIS34-P86] 平成28年熊本地震による液状化発生域の分布、被害状況と土地条件

*青山 雅史1 (1.群馬大学教育学部)

キーワード:液状化、旧河道、自然堤防、砂利採取場跡地、土地条件

平成28年熊本地震における液状化発生域を明らかにするため、現地踏査と空中写真判読をおこなった。その結果、熊本平野の白川、緑川、加勢川などの下流域において液状化が発生したことを確認した。本発表では、液状化発生域の分布、被害状況、土地条件などについて、現時点までに得られた情報を示す。なお、地形分類に関する情報は、国土地理院発行治水地形分類図や土地条件図などに基づく。

1)白川下流域(熊本市南区、西区)
白川下流域においては、自然堤防や旧河道において、多数の地点における液状化の発生を確認した。白川と加勢川に挟まれた領域では、南北にのびる自然堤防上において、噴砂および液状化の影響を受けたとみられる構造物被害(建物の不同沈下、電柱の沈下・傾斜、マンホールの浮き上がり、中層建築物基礎の抜け上がりなど)が多数生じていたことを確認した。それらは自然堤防の中の幅100m程度の帯状の領域に限定して分布していることから、既存の地形分類図には表現されていない旧河道の存在が考えられる。今後、この帯状の液状化発生域に関する土地条件(土地履歴)に関する調査・検討が必要である。
2)緑川・矢形川下流域、加勢川流域(熊本市南区、嘉島町)
この領域では、旧河道における液状化の発生を複数の領域で確認した。昭和初期の加勢川改修により廃川となり、昭和20年代に埋め立てられた旧河道では、その帯状にのびる領域において噴砂と構造物被害が生じていたことを確認した。矢形川下流域や緑川下流域の旧河道においても、複数の領域において噴砂と構造物被害が生じていたことを確認した。嘉島町の1980年代以降に盛土造成された領域では、多数の地点において噴砂の存在を確認した。
3)緑川中流域(甲佐町)
この領域においては現地踏査が未実施であるが、複数の領域における噴砂の存在が空中写真判読により確認できる。それらの多くは、過去(多くは1970年代)に存在した砂利採取場が埋め戻された領域(砂利採取場跡地)とほぼ一致する。