日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT28] 地球化学の最前線:未来の地球化学を展望して

2016年5月22日(日) 09:00 〜 10:30 A04 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*小畑 元(東京大学大気海洋研究所海洋化学部門海洋無機化学分野)、角野 浩史(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系)、横山 哲也(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)、平田 岳史(京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻)、角皆 潤(名古屋大学大学院環境学研究科)、高橋 嘉夫(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、橘 省吾(北海道大学大学院理学研究院自然史科学専攻地球惑星システム科学分野)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源研究開発センター)、下田 玄(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、鍵 裕之(東京大学大学院理学系研究科附属地殻化学実験施設)、横山 祐典(東京大学 大気海洋研究所 高解像度環境解析研究センター)、座長:角野 浩史(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系)、横山 哲也小畑 元(東京大学大気海洋研究所海洋化学部門海洋無機化学分野)

09:00 〜 09:15

[MTT28-01] 表層環境の地球化学における計算科学

★招待講演

*佐久間 博1 (1.物質・材料研究機構)

キーワード:第一原理計算、分子シミュレーション、自由エネルギー、pH、流体、固液界面

計算科学は計算機の性能向上・計算手法の発展とともに、分野を問わず有用な研究手法として成長してきた。本発表で対象とする計算科学は、原子をあらわに扱う計算のことで、第一原理計算や経験的な力場を使用する分子シミュレーションを指す。
物理・化学・生物学をみるとそれぞれに計算科学の主流となる発展方向が異なることがわかる。物理では固体の伝導性・磁性を知るためのバンド計算、化学では分子間相互作用や化学反応を取り扱う分子軌道法、生物ではタンパク質等の大きな分子の構造を知るための粗視化した分子計算が発展しているようにみえる。計算科学は地球化学においても重要な研究手法である。例えば、振動解析計算による固体の同位体分別や振動スペクトル、固体・流体の状態方程式、イオンや有機分子の固体表面への吸着・拡散の予測等が挙げられる。地球化学のこれまでの方向を見ると、今後も物理・化学・生物学の計算領域を含みつつ、高温・高圧・多成分系に計算科学を発展させる必要がある。
本発表では、我々が研究対象としてきた地球表層環境化学に対する計算科学の現状と今後の展開について議論する。特に流体・固液界面・自由エネルギー・pHに注目し、地球化学において革新的な研究成果を生み出す計算科学の将来を探りたい。