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[MTT28-09] 高時間分解能高精度加速器分析による西太平洋表層Δ14C変動復元
キーワード:放射性炭素、Δ14C変動、ΔR、サンゴ骨格、表層海水
古気候復元の研究では、炭酸塩骨格を持つサンゴは、水温変動の復元などに有効な試料として広く用いられる。サンゴ骨格は海水の溶存無機炭素 (DIC)を取り込むため、骨格中の放射性炭素(14C)を海水の移流・鉛直混合のプロキシとして使用することで、海水動態の復元が可能である。しかし、炭酸塩に含まれる14C測定には、従来の方法では10mgのCaCO3(1mgCに相当)が必要であるとされ、高時間分解能での海水動態復元が難しいという問題があった。
本研究では、東京大学大気海洋研究所にて国内唯一稼働中のシングルステージ加速器質量分析計(YS-AMS) を用いて、マイクログラムオーダーの微量試料での放射性炭素濃度分析法の確立をするとともに、その方法を黒潮海域から採取されたサンゴ骨格に適用し、高時間分解能での放射性炭素同位体比(Δ14C)変動の復元を行うことを目的とした。
その結果、1950年以降の期間については、黒潮起源の海域であるフィリピンから、その下流にあたる喜界島までの海域では、Δ14C値はほぼ一様な値となった。一方で1950年以前の期間については、Yoneda et al. (2007)で報告されていた1900年前後のΔ14Cと本研究で測定した1940年代とで値が大きく異なることが明らかになった。すなわち、西太平洋では海水中の14C濃度が約40年という短期間でも変動していることが示唆された。この現象は、放射性炭素年代に対してローカル海洋リザーバー効果(ΔR)の補正を行う際にも大きな影響を与える可能性があり、地域別のみならず、年代別にΔRの値を決定することが望ましいことが示された。
本研究では、東京大学大気海洋研究所にて国内唯一稼働中のシングルステージ加速器質量分析計(YS-AMS) を用いて、マイクログラムオーダーの微量試料での放射性炭素濃度分析法の確立をするとともに、その方法を黒潮海域から採取されたサンゴ骨格に適用し、高時間分解能での放射性炭素同位体比(Δ14C)変動の復元を行うことを目的とした。
その結果、1950年以降の期間については、黒潮起源の海域であるフィリピンから、その下流にあたる喜界島までの海域では、Δ14C値はほぼ一様な値となった。一方で1950年以前の期間については、Yoneda et al. (2007)で報告されていた1900年前後のΔ14Cと本研究で測定した1940年代とで値が大きく異なることが明らかになった。すなわち、西太平洋では海水中の14C濃度が約40年という短期間でも変動していることが示唆された。この現象は、放射性炭素年代に対してローカル海洋リザーバー効果(ΔR)の補正を行う際にも大きな影響を与える可能性があり、地域別のみならず、年代別にΔRの値を決定することが望ましいことが示された。