15:20 〜 15:55
[O01-05] 地質調査業が求める人材像と理科教育への期待
★招待講演
キーワード:自然災害、仮説検証型能力、野外調査対応型教育
2011年3月に発生した東日本大震災は、国土強靭化法の制定に繋がり、更に広島県で発生した集中豪雨災害、御嶽山の噴火等の多発する自然災害が、国民の国土に関する従来にない関心の高まりを招いている。
これまでの地質調査業は、日本の高度成長時代を支えた社会資本建設時は地盤に関する基礎資料を提供する業務を主体としていた。しかし、近年の地盤に関する国民意識の変化によって、地質調査業には、防災・減災、維持管理、地盤環境の解明等、自然環境と人類社会のバランスを取るためのソリューションが求められるようになってきている。例えば、地質分布と植生から森林の防災効果を考察した事例(池上ほか、2105)や豪雨による土砂災害対策としてタイムラインを適用した事例(大村ほか、2015)等、従来の地質学をベースとした技術サービスから、他分野技術と組み合わせ、更に情報技術との連携によるソリューションの提供が求められるようになり、ここに新たなビジネスチャンスが出現する傾向が出始めた。
一方、国民レベルで地盤への関心が増加することによって、これまで事業者を介した情報の提供が基本であった地質調査業が、情報技術の発達に伴い、三次元モデルによる地盤情報の提供(西山、2015)など、ダイレクトに国民のニーズに対応する立場になりつつある。
このような業界の変化は、地質調査業が必要とする将来の担い手の人材像の変化にも当然つながるものである。その人材像とは、自らの専門分野を超えて、より広い自然科学的視点から論理的にソリューションを導き出すことができ、しかも仮説検証型能力を持った人材である。このような人材の育成には、地質踏査のような野外調査対応型教育が適していると考えられ、地球惑星分野の大学教育への適用拡大を期待するところである。
これとは視点が異なるが、安全・安心社会の形成、国土の強靭化に貢献する使命を持つ業界としては、国民の自然科学に関する知識レベルの更なる向上が重要と認識している。このため、これまでも業界として野外実習を主体とした学校教育活動に取り組んでいるが、業界活動では限界がある。この役割は、学校教育の理科学習に期待すべきところであるが、理科教育で達成すべき水準としては、防災・減災活動に参画できる知識形成を目標とすることが重要である。
これまでの地質調査業は、日本の高度成長時代を支えた社会資本建設時は地盤に関する基礎資料を提供する業務を主体としていた。しかし、近年の地盤に関する国民意識の変化によって、地質調査業には、防災・減災、維持管理、地盤環境の解明等、自然環境と人類社会のバランスを取るためのソリューションが求められるようになってきている。例えば、地質分布と植生から森林の防災効果を考察した事例(池上ほか、2105)や豪雨による土砂災害対策としてタイムラインを適用した事例(大村ほか、2015)等、従来の地質学をベースとした技術サービスから、他分野技術と組み合わせ、更に情報技術との連携によるソリューションの提供が求められるようになり、ここに新たなビジネスチャンスが出現する傾向が出始めた。
一方、国民レベルで地盤への関心が増加することによって、これまで事業者を介した情報の提供が基本であった地質調査業が、情報技術の発達に伴い、三次元モデルによる地盤情報の提供(西山、2015)など、ダイレクトに国民のニーズに対応する立場になりつつある。
このような業界の変化は、地質調査業が必要とする将来の担い手の人材像の変化にも当然つながるものである。その人材像とは、自らの専門分野を超えて、より広い自然科学的視点から論理的にソリューションを導き出すことができ、しかも仮説検証型能力を持った人材である。このような人材の育成には、地質踏査のような野外調査対応型教育が適していると考えられ、地球惑星分野の大学教育への適用拡大を期待するところである。
これとは視点が異なるが、安全・安心社会の形成、国土の強靭化に貢献する使命を持つ業界としては、国民の自然科学に関する知識レベルの更なる向上が重要と認識している。このため、これまでも業界として野外実習を主体とした学校教育活動に取り組んでいるが、業界活動では限界がある。この役割は、学校教育の理科学習に期待すべきところであるが、理科教育で達成すべき水準としては、防災・減災活動に参画できる知識形成を目標とすることが重要である。