日本地球惑星科学連合2016年大会

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[O-02] 高校生によるポスター発表

2016年5月22日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構 地球環境変動領域)、成瀬 元(京都大学大学院理学研究科)、山田 耕(早稲田大学政治経済学術院)

13:45 〜 15:15

[O02-P26] 明るさシミュレーション~人口・標高メッシュの活用~

*山口 稜太1、*吉筋 航介1山本 拓実1川口 彰太1守屋 泰雅1 (1.愛知県立一宮高校)

キーワード:光害、シミュレーション、メッシュデータ

1、昨年度までの研究
日本全国を対象とした全国版と濃尾平野を対象とした地方版の明るさシミュレーションを行った。シミュレーションを行うにあたり、光源の位置は全国版では市区町村役場、地方版では駅とし、光の強さは人口に比例すると仮定した。また、使用式は以下のとおりである。

(シミュレーション式)
L=(L0×e-Dσ)/D2

L:明るさ L₀:光源 e:自然対数
D:距離 σ:消散係数(6.0×10⁻⁵)

(シミュレーション補正式)
M=24-(24-L)e-0.005×h

h:観測地の標高
M:h m地点での夜空の明るさ
L:0 m地点での夜空の明るさ

シミュレーション結果について相関係数をとると、0.94、全国版は0.70となった。このことから、地方版では精度の高いシミュレーションが得られたことがわかる。

2.今年度の研究
今年度は、人口メッシュと標高メッシュのデータを用いて10km四方の正確な人口と標高をシミュレーションに反映させることで主に全国版のシミュレーション精度の向上を目指した。メッシュとは日本全国を緯度、経度をもとに区分けしたものである。
(1)夜空の明るさについて、光源は各10km四方のメッシュの中心にあり、光の強さは人口に比例する、また全国版においては観測地点から100km以内のメッシュからのみ影響を受けると仮定した。この仮定をもとに昨年度と同様の式を用いてシミュレーションを行った。
シミュレーション結果について相関係数をとると全国版は0.45、地方版は0.70となった。
(2)1km四方の人口メッシュと標高メッシュを用いてシミュレーションと同じ方法で九州版と全国版のシミュレーションマップを作成した。 しかし、このシミュレーションマップは、実測値に基づいて作られた北九州の明るさマップと比較をしたところ、明らかに異なっていた。
(3)各メッシュの人口とその周囲8マスの人口を平均したものをもとに全国版夜空の明るさマップを作成した。 また、人口メッシュのデータがないところは標高メッシュのデータをもとにうめた。このマップを実測値に基づいて作られた北九州の明るさマップと比較をしたところ、ほぼ一致していた。

3.まとめ
相関係数から、全国版では昨年度より精度の低い結果となった。この原因として、実測値そのものが正確でないことが考えられる。この問題は我が校が開発したSQMフードを用いることにより改善できると思われる。また人口メッシュや標高メッシュといった正確なデータを用いたにもかかわらず、精度の低い結果となったのは、そもそもシミュレーションの方法が適していないからだとも考えられる。今後はシミュレーションの方法も改善していきたいと思う。シミュレーションマップからは、人口の多い都市部で光害が顕著であることがわかる。またシミュレーションマップを作成することにより、光害の影響を周知し光害の対策に繋げていきたいと考えている。

4.謝辞・参考文献
・ハートピア安八天文台
・一宮高校SSH全国夜空の明るさ
・観測チーム
・名古屋大学大学院 柴田 隆 教授
・環境省 光害対策ガイドライン(平成18年2月改定)
・国土地理院・地理院地図
・独立行政法人統計センター地図で見る統計
・北九州1/5万等光度曲線地図(東筑紫学園高等学校・照曜館中学校)