13:45 〜 15:15
[O02-P39] 夏井川水系における河川水硬度と地質の関係
キーワード:硬度、塩基性岩
研究背景
私の住むいわき市には全長約65kmの夏井川が流れている。このいわき市の地質図と夏井川水系とを重ね合わせた際、夏井川支流の上流付近の地質が川ごとにそれぞれ異なっていることに気づいた。河川水中に含まれる物質は地中の様々な岩石の成分が溶け込んだものであるため、川として水が地表に湧出するまでに水が通る地下の地質によって異なる。そのため上流部の地質が違えば河川ごとに水中に溶け込む物質が異なっていると考えた。そこで夏井川水系の河川ごとに溶け込んでいる物質のなかでも容易に測定できる硬度(カルシウムイオンとマグネシウムイオンの質量)と地質をみることにより、地質と河川に溶け込む物質の関係を調べることにした。
実験内容
夏井川の中流から下流にかけ本流11地点と支流11地点の水を交互に計22地点で採水をした。その後、採った河川水についてキレート滴定を用いて硬度を求めた。以下にキレート滴定の概略を示す。
1.試料50mLをpH10緩衝溶液で調整し、5%硫化ナトリウムを2ml加えEBT指示薬を2滴加え、EDTA水溶液で滴定を行う。
2.試料50mLをpH12緩衝溶液で調整し、5%硫化ナトリウムを2ml加えNN指示薬を0.1g
加え、EDTA水溶液で滴定を行う。
3.この操作を各地点で3回行い、滴定値より各硬度を算出する。
実験結果
上記の実験の結果、以下のような硬度(mg/L)の値が得られた。本流では上流から順に45.6、46.2、45.6、55.6、57.0、40.6、38.8、42.4、48.2、67.8、53.8となった最高値は66.8、最低値は38.8だった。支流では上流側の支流から順に21.4、44.2、74.6、39.6、77.6、124.4、102.6、58.0、74.6、48.2、143.0となった。最高値は142.0、最低値は21.4だった。
考察
世界保健機構の基準では硬度が60mg/L毎に四段階の基準が設けられている。滴定の結果11の支流のうち7の支流で60mg/L以上という基準の二、三段階目に該当する高い値がでた。この他の支流ではそれ以下の低い値が得られた。本流においてはほとんどの硬度が40~60mg/Lの間に収まり支流と比べ小さな変化が見られた。
硬度に影響を与える岩石としてマグネシウムやカルシウムに富む塩基性岩、マグネシウムやカルシウムに乏しい酸性岩に特に着目した。支流の硬度の違いについて、硬度の高い支流のうち二本の河川の上流部には塩基性岩が広がる箇所が見られたが、残りの五本の支流の上流部では塩基性岩がないのにも関わらず高い硬度の値がでた。また硬度の低い支流の上流部では全ての地点で塩基性岩は見られなく、砂岩や堆積物、酸性岩が多くみられた。表層の地質においてはこのような違いから、塩基性岩の有無により硬度の高低に差が出たと考えられる。また塩基性岩はないが硬度が高い支流に関しては塩基性岩以外に硬度に影響強く与える岩石が存在することや地質以外の要因、地下での滞留時間の長さや排水の流入、が影響を与えたと考えらえる。
今後の展望
岩石ごとの水への溶けやすさを調べ、硬度に違いが地質の違いによるものかを確認する。
調査項目を増やし、支流の硬度の違いについて他に影響を与えているものを探す。
支流と本流の河川水を混合させた際に硬度がどのように変化するのかを調べ、本流での硬度の変化と対応するかみていく。
私の住むいわき市には全長約65kmの夏井川が流れている。このいわき市の地質図と夏井川水系とを重ね合わせた際、夏井川支流の上流付近の地質が川ごとにそれぞれ異なっていることに気づいた。河川水中に含まれる物質は地中の様々な岩石の成分が溶け込んだものであるため、川として水が地表に湧出するまでに水が通る地下の地質によって異なる。そのため上流部の地質が違えば河川ごとに水中に溶け込む物質が異なっていると考えた。そこで夏井川水系の河川ごとに溶け込んでいる物質のなかでも容易に測定できる硬度(カルシウムイオンとマグネシウムイオンの質量)と地質をみることにより、地質と河川に溶け込む物質の関係を調べることにした。
実験内容
夏井川の中流から下流にかけ本流11地点と支流11地点の水を交互に計22地点で採水をした。その後、採った河川水についてキレート滴定を用いて硬度を求めた。以下にキレート滴定の概略を示す。
1.試料50mLをpH10緩衝溶液で調整し、5%硫化ナトリウムを2ml加えEBT指示薬を2滴加え、EDTA水溶液で滴定を行う。
2.試料50mLをpH12緩衝溶液で調整し、5%硫化ナトリウムを2ml加えNN指示薬を0.1g
加え、EDTA水溶液で滴定を行う。
3.この操作を各地点で3回行い、滴定値より各硬度を算出する。
実験結果
上記の実験の結果、以下のような硬度(mg/L)の値が得られた。本流では上流から順に45.6、46.2、45.6、55.6、57.0、40.6、38.8、42.4、48.2、67.8、53.8となった最高値は66.8、最低値は38.8だった。支流では上流側の支流から順に21.4、44.2、74.6、39.6、77.6、124.4、102.6、58.0、74.6、48.2、143.0となった。最高値は142.0、最低値は21.4だった。
考察
世界保健機構の基準では硬度が60mg/L毎に四段階の基準が設けられている。滴定の結果11の支流のうち7の支流で60mg/L以上という基準の二、三段階目に該当する高い値がでた。この他の支流ではそれ以下の低い値が得られた。本流においてはほとんどの硬度が40~60mg/Lの間に収まり支流と比べ小さな変化が見られた。
硬度に影響を与える岩石としてマグネシウムやカルシウムに富む塩基性岩、マグネシウムやカルシウムに乏しい酸性岩に特に着目した。支流の硬度の違いについて、硬度の高い支流のうち二本の河川の上流部には塩基性岩が広がる箇所が見られたが、残りの五本の支流の上流部では塩基性岩がないのにも関わらず高い硬度の値がでた。また硬度の低い支流の上流部では全ての地点で塩基性岩は見られなく、砂岩や堆積物、酸性岩が多くみられた。表層の地質においてはこのような違いから、塩基性岩の有無により硬度の高低に差が出たと考えられる。また塩基性岩はないが硬度が高い支流に関しては塩基性岩以外に硬度に影響強く与える岩石が存在することや地質以外の要因、地下での滞留時間の長さや排水の流入、が影響を与えたと考えらえる。
今後の展望
岩石ごとの水への溶けやすさを調べ、硬度に違いが地質の違いによるものかを確認する。
調査項目を増やし、支流の硬度の違いについて他に影響を与えているものを探す。
支流と本流の河川水を混合させた際に硬度がどのように変化するのかを調べ、本流での硬度の変化と対応するかみていく。