日本地球惑星科学連合2016年大会

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[O-02] 高校生によるポスター発表

2016年5月22日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構 地球環境変動領域)、成瀬 元(京都大学大学院理学研究科)、山田 耕(早稲田大学政治経済学術院)

13:45 〜 15:15

[O02-P66] 木星表面の模様を探れ

*小倉 匠翼1、*小林 晃啓1、*山田 直人1大城 悠斗1宇根 恭人1 (1.滋賀県立米原高等学校地学部(天文班))

キーワード:木星

動機 地学図表などに掲載されている木星の画像と言えば、必ず大赤斑が写っている。その裏側はどのようになっているのか疑問に思い、木星全体の縞模様の特徴を調べようと研究を始めた。
目的 米原高校にあるいろいろな天体望遠鏡やカメラを用いて、木星を最も鮮明に撮影する方法を確立する。また、撮影した画像から、木星の展開図(Cylindrical map)を作成し、木星の縞やベルトの特徴を調べる。

研究Ⅰ.木星の撮影方法の確立
目的 米原高校にある天体望遠鏡を用いて、3通りの撮影方法を試し、最も木星の表面の様子がきれいに見える撮影方法を確立する
方法 本校にある7台の天体望遠鏡で用いて3通りの方法で木星を撮影し、RegiStax6を用いて階調処理を行う。使用した天体望遠鏡は、高橋製作所(FC-100D、FS-60、FC76、μ-180)、セレストロンC11、西村製作所(15cm屈折、30cm反射)、撮影方法は、直焦点法、リレーレンズ法、バーローレンズ法で行った。カメラは、DMK21AU04を使用した。また、L、R、G、B、IRの5枚のフィルターを使用した。
結果 ⑴C11を用いて、リレーレンズ法で撮影した画像が最も鮮明だとわかった。
⑵L、R、G、B、IRの5枚の画像を比較することで、木星の各縞(帯)に見られる構造や大気の動きがいくつか見えた。

研究Ⅱ.「鮮明な画像」の定義を決める
目的 研究Ⅰで「鮮明な画像」と評価した際に、その評価が主観的であるため、木星の鮮明さを示す尺度を独自で作成し、それを基準に機材ごとで撮影した画像を客観的に評価し鮮明な画像の定義を決める。
方法 処理後の画像から、すばる画像処理ソフト「マカリ」を用いて輝度変化のグラフを作成し、木星の三本の縞の部分に明暗の角度を定め、角度の大きさや輝度差から画像を評価する方法を使用した。
結果 22枚の画像を評価した結果、「鮮明な画像」は明暗の角度が35°以下、輝度差が8000以上20000未満であると定義できた。

研究Ⅲ.木星の展開図(Cylindrical map)の作成
目的 研究Ⅱの方法で評価した鮮明な木星の画像を用いて、展開図を作成し木星の各縞(帯)に見られる大気の動きを調べる。
方法 木星の展開図は、以下の3通りの方法を考えて作成した。
①WinJUPOSのMap機能を用い、すべての画像から一度に1枚の展開図を作成する。
②WinJUPOSのMap機能を用い、1枚の画像から1枚の展開図を作成し、すべての画像に同様の処理を行う。その後、展開図の鮮明な部分だけをそれぞれ切り取り、一列に並べて一枚の展開図を作成する。
③StellaImageの惑星展開図を用い、1枚の画像から1枚の展開図を作成し、同様の処理をすべての画像に行なう。その後、展開図の鮮明部分だけをそれぞれ切り取り、経度を調べ、一列に並べて1枚の展開図を作成する。
結果 3種類の方法で展開図を作成し比較した結果、②の方法で行った展開図が最もきれいであると分かった。

結論および今後の課題
⑴これまでの1年間の研究で、撮影方法は確立できたが、一晩を通しての連続撮影ではいろいろな不具合が生じた。天体望遠鏡の結露などにより、計画通りの連続撮影ができなかった。それらの対策を考え、より良い画像を連続して撮影できるようにしたい。
⑵木星の画像(展開図)を継続的に撮影していくことで、縞(帯)の変化や大赤斑、白斑などの動きなども調べていきたい。