13:45 〜 15:15
[O02-P71] つくば市内の気温の空間分布と周辺環境Ⅳ
キーワード:ヒートアイランド現象、つくば市、地理情報システム(GIS)、移動観測、百葉箱
研究の背景
昨年行った研究から,つくば市中心部において、郊外部と比較すると、最低気温が高く、日較差が小さいことから、ヒートアイランド現象が発生していることが分かった。そのため,その特徴を探ろうと考えた。
・ヒートアイランド現象の定義
都市部の気温が郊外部と比べて,高温を示し,等温線を引くと,都市部を中心とした島のようになる現象のことを指す。
研究の目的
つくば市における気温と周辺環境の関係を定置観測から明らかにすること,つくば市中心部におけるヒートアイランド現象の特徴を移動観測から探ることである。
研究の方法
・最低気温と周辺環境の関係
つくば市内小中学校8校の百葉箱に気温測定用データロガーを設置し,気温を測定した。その後,最高気温が出た日の日最低気温のデータ(気温差が出やすいため)と国土数値情報 土地利用のデータを合わせて散布図に表した。
・都市部の詳細な気温分布の作成
詳細な気温の分布を知るために,移動観測を行った。自転車にWireless Thermo Recorder RTR-502付きの棒を白いビニールテープでくくりつけ,事前に決めたルートを走行し10秒間隔で気温を測定した。同時に,GPSを使って位置も同間隔で測位した。観測した気温データはExcelを使って整理し,時間軸の補正を行った。整理したデータを7色プロットツールというサイトに入力し,気温分布の合成図を作った。
結果
・最低気温と周辺環境の関係
田の割合と日最低気温において,田の割合が大きくなるにつれて最低気温が低くなる傾向にあることがわかった。また,建物用地と日最低気温において,建物用地の割合が大きくなるにつれて最低気温が高くなる傾向にあることがわかった。
都市部の詳細な気温分布
5日間の移動観測のデータを合成した結果,等温線図と同様なヒートアイランド現象の発生を再現することができた。
中心部と郊外部では、距離があまり離れていないのにもかかわらず,気温が急激に変化していることがわかる。また、周辺に建物用地が多い地点では気温が高く、田や農用地が多い地点では気温が低くなっていることがわかる。
つくば市中心部において、池や公園がある地点では気温が急に低くなっていることがわかる。
まとめ
① 最低気温を下げる要因は田とその他農用地である。一方,最低気温を上げる要因は建物用地とその他の用地である。
② 冬季の早朝に移動観測を行うことで,つくば市中心部におけるヒートアイランド現象の発生を確認することが可能である
③ 移動観測は,定置観測と同様な結果を得ることが可能であり,さらに細かな気温分布を見ることができるため,有益性がある
④ 気温は土地利用に敏感に応答し,公園や池といった細かな構造も気温に影響を与える
今後の課題
・周辺環境が気温に影響を及ばすことについての主要因を見出す。
・つくば市中心部をさらに田や農用地がある地域と,ビルなどが立ち並ぶ地域に分け,気温と周辺環境の関係について,移動観測を行っていき,細かな要因を探る。
・夏季の日中に測定を行ったとき,信号で止まった時,観測機器に熱が溜まる,日向や日陰の影響が出るといった問題があり,より精度の高い観測を行うことが必要である。
参考文献
・気象庁ホームページ http://www.jma.go.jp/jma/index.html
・国土交通省 国土数値情報 http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/
・日下博幸(2013)「学んでみると気候学はおもしろい」ベレ出版
・ESRIジャパン株式会社(2011)「GIS体験セミナー」
・軽辺凌太(2015)「つくば市内の気温の空間分布と周辺環境Ⅲ」日本気象学会2015年大会 ジュニアセッション
・日下博幸(2009)「冬季晴天日におけるつくば市のヒートアイランド:予備観測の結果」日本ヒートアイランド学会論文集Vol.4
謝辞
本研究は、筑波大学GFESTのSSコースに採用され茨城大学理学部准教授の若月泰孝先生と元TAの坂本光司さんに多くのご指導をいただきました。また,本校教員の菊地茂実先生、粉川雄一郎先生にも多くのご指導をいただきました。そして,百葉箱にデータロガーを設置させていただいたつくば市の小中学校の皆様に感謝申し上げます。
昨年行った研究から,つくば市中心部において、郊外部と比較すると、最低気温が高く、日較差が小さいことから、ヒートアイランド現象が発生していることが分かった。そのため,その特徴を探ろうと考えた。
・ヒートアイランド現象の定義
都市部の気温が郊外部と比べて,高温を示し,等温線を引くと,都市部を中心とした島のようになる現象のことを指す。
研究の目的
つくば市における気温と周辺環境の関係を定置観測から明らかにすること,つくば市中心部におけるヒートアイランド現象の特徴を移動観測から探ることである。
研究の方法
・最低気温と周辺環境の関係
つくば市内小中学校8校の百葉箱に気温測定用データロガーを設置し,気温を測定した。その後,最高気温が出た日の日最低気温のデータ(気温差が出やすいため)と国土数値情報 土地利用のデータを合わせて散布図に表した。
・都市部の詳細な気温分布の作成
詳細な気温の分布を知るために,移動観測を行った。自転車にWireless Thermo Recorder RTR-502付きの棒を白いビニールテープでくくりつけ,事前に決めたルートを走行し10秒間隔で気温を測定した。同時に,GPSを使って位置も同間隔で測位した。観測した気温データはExcelを使って整理し,時間軸の補正を行った。整理したデータを7色プロットツールというサイトに入力し,気温分布の合成図を作った。
結果
・最低気温と周辺環境の関係
田の割合と日最低気温において,田の割合が大きくなるにつれて最低気温が低くなる傾向にあることがわかった。また,建物用地と日最低気温において,建物用地の割合が大きくなるにつれて最低気温が高くなる傾向にあることがわかった。
都市部の詳細な気温分布
5日間の移動観測のデータを合成した結果,等温線図と同様なヒートアイランド現象の発生を再現することができた。
中心部と郊外部では、距離があまり離れていないのにもかかわらず,気温が急激に変化していることがわかる。また、周辺に建物用地が多い地点では気温が高く、田や農用地が多い地点では気温が低くなっていることがわかる。
つくば市中心部において、池や公園がある地点では気温が急に低くなっていることがわかる。
まとめ
① 最低気温を下げる要因は田とその他農用地である。一方,最低気温を上げる要因は建物用地とその他の用地である。
② 冬季の早朝に移動観測を行うことで,つくば市中心部におけるヒートアイランド現象の発生を確認することが可能である
③ 移動観測は,定置観測と同様な結果を得ることが可能であり,さらに細かな気温分布を見ることができるため,有益性がある
④ 気温は土地利用に敏感に応答し,公園や池といった細かな構造も気温に影響を与える
今後の課題
・周辺環境が気温に影響を及ばすことについての主要因を見出す。
・つくば市中心部をさらに田や農用地がある地域と,ビルなどが立ち並ぶ地域に分け,気温と周辺環境の関係について,移動観測を行っていき,細かな要因を探る。
・夏季の日中に測定を行ったとき,信号で止まった時,観測機器に熱が溜まる,日向や日陰の影響が出るといった問題があり,より精度の高い観測を行うことが必要である。
参考文献
・気象庁ホームページ http://www.jma.go.jp/jma/index.html
・国土交通省 国土数値情報 http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/
・日下博幸(2013)「学んでみると気候学はおもしろい」ベレ出版
・ESRIジャパン株式会社(2011)「GIS体験セミナー」
・軽辺凌太(2015)「つくば市内の気温の空間分布と周辺環境Ⅲ」日本気象学会2015年大会 ジュニアセッション
・日下博幸(2009)「冬季晴天日におけるつくば市のヒートアイランド:予備観測の結果」日本ヒートアイランド学会論文集Vol.4
謝辞
本研究は、筑波大学GFESTのSSコースに採用され茨城大学理学部准教授の若月泰孝先生と元TAの坂本光司さんに多くのご指導をいただきました。また,本校教員の菊地茂実先生、粉川雄一郎先生にも多くのご指導をいただきました。そして,百葉箱にデータロガーを設置させていただいたつくば市の小中学校の皆様に感謝申し上げます。