[O-04] ジオパークへ行こう

[O04-02] アポイ岳ジオパークへ行こう

★招待講演

*加藤 聡美¹ (1.アポイ岳ジオパークビジターセンター)

キーワード：ジオパーク、ジオツーリズム、アポイ岳ジオパーク、かんらん岩、高山植物

アポイ岳ジオパークのメインテーマは、「地球深部からの贈りものがつなぐ大地と自然と人々の物語」である。地球規模のダイナミックな変動によって地下深くから現れた「かんらん岩」、それがアポイ岳を形づくった。アポイ岳ジオパークは、この大地と、自然と人々とをつなぐ物語の舞台である。
サブテーマA：かんらん岩から大地の変動を学び楽しむ日高山脈は約1,300万年前に起きた、２つの大陸プレートの衝突によってできた。その衝突の際、地殻の下にあるマントルの一部が突き上げられるように地上に現れたのが「幌満かんらん岩体」、つまりアポイ岳である。アポイ岳周辺には、地球深部のマントルの情報をそのまま持っている新鮮なかんらん岩が広がっており、世界的に注目されている。また、アポイ岳ジオパークには、プレート衝突の現場やマグマが冷えて固まった奇岩類、はるか南の海から運ばれてきた岩石など、大地の変動を学び楽しむための多彩な要素がある。
​サブテーマB：アポイ岳の高山植物から自然環境を学び楽しむアポイ岳では、その特殊な土壌・気象・地理的環境によって、低標高ながら高山植生が成立している。ここには、ヒダカソウなどのここにしかない花を含む多くの固有植物が生育しており、アポイ岳の高山植物群落は国の特別天然記念物にも指定されている。また、高山植物だけでなく、固有種のカタツムリ「アポイマイマイ」のほか、日本ではここにしか生息しない蝶「ヒメチャマダラセセリ」や氷河期の遺存種「エゾナキウサギ」など、アポイ岳ジオパークには、自然環境を学び楽しむための多様で貴重な生態系が残されている。
サブテーマC：歴史から自然と人間社会の共生を学び楽しむ様似海岸の親子岩やソビラ岩、エンルム岬などの奇岩類は風光明媚な景観をつくっている。様似（アポイ岳ジオパーク）には、これら奇岩類にまつわる先住民族アイヌの数々の言い伝えが残されている。また、エンルム岬は、風をやわらげ出船入船を見守るその地形から天然の良港として古くから利用され、様似は江戸時代から北前船流通の要衝として発展してきた。アポイ岳ジオパークには、自然と人間社会の共生を学び楽しむための、アポイを仰ぎ海とともに生きてきた人々の歴史が息づいている。
本発表では、アポイ岳や様似町の特徴、アポイ岳ジオパークの取り組みを紹介し、アポイ岳ジオパークの楽しみ方を紹介する。