日本地球惑星科学連合2016年大会

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[O-04] ジオパークへ行こう

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

17:15 〜 18:30

[O04-P03] 市民が主体となったジオサイト研究会の活動について

*山崎 由貴子1沼倉 誠1金 潔1柴田 百子1加賀美 典明1河邉 絢一郎2 (1.湯沢市ジオパーク推進協議会、2.秋田まるごと地球博物館ネットワーク)

キーワード:ジオパーク、市民の活動、ゆざわジオパーク

ジオパークはある領域によって定義されているが、その中でもいくつかの見どころを設定している。ゆざわジオパークではその見どころを16か所設定しており、それらは秋田まるごと地球博物館ネットワークによって2010年度から行われた学術調査を基に選定された。調査は2012年にゆざわジオパークが日本ジオパークに認定された後も継続的に行われていたが、5年間の計画で行われていたため、2014年度で一旦終了した。しかし、ジオパークを発展させ、持続可能な活動としていくためには、今後も既存の見どころの調査や新規の見どころの開拓が不可欠である。そこで、地域をよく知る市民にその一端を担ってもらうことを目的に、市民によるジオサイト研究会を発足した。
本発表では、ジオサイト研究会の活動報告と、今後の展望について議論する。
ジオサイト研究会は2014年10月に湯沢市広報で募集した。2014年度の活動は全8回で、秋田まるごと地球博物館ネットワークによって行われた学術調査の報告書を輪読した。輪読はジオサイトの研究状況を確認し、専門用語を調べることで調査員の基礎知識の底上げを目的に行った。2015年度は新たな研究員の募集は行わずに、引き続き発足当初のメンバーで活動を開始した。2015年度は2つのグループに分かれてそれぞれテーマを設定し、調査活動を行った。
1つは起源不明の火山岩について、その起源を明らかにするというテーマで行った。対象の岩石は長さ10m程の小さな丘のようになっており、丘全体が柱状節理でできている。学術調査報告書より、デイサイト質溶岩ではないかと考えられているが、どの山から噴出されたものなのかわかっていない。対象の岩石は二つ森という名前が付けられ、この周辺の地域が生誕の地ではないかと考えられている小野小町の墳墓ではないかという伝承が残っている。地域の人が柱状節理の不思議な形に思いを馳せ、大切にしてきた場所であり、ゆざわジオパークの代表的な見どころの一つである。研究会ではこの二つ森の岩石と周辺の3種類の火山岩を採取し、肉眼、顕微鏡で観察し比較した。もう一つのテーマは、扇状地の場所による土壌の粒径分布の違いを明らかにするというものである。湯沢市の中心付近に、南北へ延びる東鳥海山断層がある。その断層部分に比較的傾斜が大きい扇状地が7つ連なっており、三関扇状地と呼ばれる。ここではこの地形と気象条件をうまく利用し果樹栽培を行っている。なかでもサクランボの栽培が盛んで、品質の高いものが全国へ出荷されている。研究会ではある一つ扇状地に着目し、山から近いところから遠いところまでそれぞれ5カ所で土壌を採取し、粒径分布が場所によってどのくらい違うのかを調査した。これらの結果は2016年2月12日に開催された第3回ゆざわジオパーク学習発表交流会で発表した。
ジオサイト研究会の今後について、より地域性のあるテーマを設定し、日程や時間の制約を少なくして活動しやすくするためにも、ジオサイト研究会が主体となり活動していくことを目指している。また記録には残っていないが、人々の間で語り継がれてきた地域特有の言い伝えなどについて調べ、そこから新しいジオサイトの発見に繋がるような活動もしていきたい。