日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-04] ジオパークへ行こう

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

17:15 〜 18:30

[O04-P04] カムイの大地ジオパーク構想 〜大雪山を源に石狩川の水潤う上川盆地と神居古潭〜

*和田 恵治1中谷 良弘2あさひかわジオパークの会 メンバー2 (1.北海道教育大学旭川校地学教室、2.あさひかわジオパークの会)

キーワード:カムイの大地ジオパーク、大雪山、石狩川、上川盆地、神居古潭帯、旭川

はじめに
旭川ジオパークの会は,旭川市神居古潭および大雪山国立公園を舞台とした旭川市周辺地域をジオパークとして,その国内認定にむけて寄与することを目的として2012年に会員5名で発足した任意団体である。これまで神居古潭峡谷のジオマップ作成,ジオフォーラムやジオフェスティバルの開催,神居古潭地域の現地調査や観察会・清掃など様々な活動を行って,多くの市民に会の活動が知られるようになり,会員数も現在は64名にまで増えた。私たちが描いている「カムイの大地ジオパーク構想」を以下に報告する。
ジオパーク構想の名称と範囲
「カムイの大地」という名称は,本地域の地質遺産である神居古潭と大雪山がともに「カムイ」の名前を含むこと(カムイコタンとカムイミンタラ)に由来するもので仮の名称である。神居古潭峡谷に流水が集結する石狩川水系各河川の源流域にある大雪山や十勝岳連峰一帯を表す言葉と言える。この構想では,神居古潭峡谷から上川盆地,大雪山系,石狩川水系一帯を含めて「カムイの大地」と呼ぶ。市町村では旭川市,鷹栖町,東神楽町,東川町,当麻町,比布町,愛別町,上川町が含まれる。美瑛町・上富良野町が進めている「十勝岳ジオパーク構想」エリアに隣接する。
ジオストーリー概要
本地域ジオパーク構想のジオストーリーは,約1億数千万年前に始まる海洋プレートの沈み込み帯にできた神居古潭変成帯,百万年前に始まる大雪・十勝火山群の形成,その間に挟まれ形づくられた上川盆地,この大地の恵みをうけ生きる人々の歴史や文化があり,これらを結び繋いでいるのが石狩川水系であると考える。
ジオサイト候補
本地域ジオパーク構想のジオエリアとしては,大きく①神居古潭峡谷エリア,②上川盆地エリア,③大雪火山エリアに分ける。
(1)北海道の大地の基盤となる神居古潭帯と日高帯(およそ2億〜数千万年前)
① 神居古潭峡谷エリア:海のプレートの沈み込み帯,高圧の変成岩類
② 鷹栖・比布・当麻・東川エリア:海と陸のプレートの岩石が混ざり合う付加体
(2)小さな火山だった ~旭山・月形山エリア:1度の噴火でできた火山(およそ5〜2百万年前)
(3)幻のカルデラから噴出した大規模火砕流 ~上川・愛別・当麻・東川・東神楽エリア:
巨大噴火により流れ出た大規模火砕流堆積物による台地(およそ2.5〜1.5百万年前)
(4)北海道の屋根・大雪火山群(およそ百万年前〜)
① 東川・天人峡,旭岳・御鉢平エリア:御鉢平火砕流による柱状節理,火山地形
② 上川・層雲峡・黒岳エリア:御鉢平火砕流による柱状節理,溶岩ドーム
(5)上川盆地の成り立ちと石狩川水系の水の恵み ~旭川・当麻・東川エリア:
旭川層の植物化石,神居古潭のおう穴群,東川の湧水
(6)カムイの大地の風土を基にしたもの
① 歴史文化遺産:アイヌの人と文化,屯田兵村と開拓,黒曜石のストーンロード
② 産業遺産:水資源や森林資源と産業,サケの回帰
③ 風土遺産:河川の合流点に立つ都市,極寒の地,針広混交林と稲田の共存風景