日本地球惑星科学連合2016年大会

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[O-04] ジオパークへ行こう

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

17:15 〜 18:30

[O04-P16] 山岳ガイドのノウハウを活かしたジオツーリズムの試み

松田 好弘1,2大塚 憲一1,2,3小西 慶子1、*飯田 肇4,1丹保 俊哉1,4 (1.立山黒部ジオパーク協会、2.立山ガイド協会、3.(株)トラバース、4.富山県立山カルデラ砂防博物館)

キーワード:山岳ガイド、立山黒部ジオパーク、ジオツーリズム

立山黒部ジオパーク内には、立山を抜ける立山黒部アルペンルートや黒部峡谷を走るトロッコ電車、宇奈月温泉などの観光名所がある。例えば、100万人を超える観光客が訪れる立山黒部アルペンルートでは、これまでの団体旅行から個人旅行にシフトしてきており、台湾や東南アジアを中心に欧米の方も含め国外旅行客も増加している。このような状況の中で、立山黒部ジオパークでは、山岳景観や高山帯の動植物を見せる観光から、地形や地質、動植物環境、人との関わりなどを組み合わせたストーリー性のある付加価値の高いツーリズムの展開を進めている。
これらを実現するため、立山黒部ならではの民間主導の組織を活かし、立山黒部アルペンルートを展開する立山黒部貫光(株)や意欲のある小さなツアー会社、鉄道やバスなどを展開する運輸業者などと連携し、新しいツーリズムビジネスの創出を目指しながら事業を計画している。ジオパークの特徴でもある次世代に引き継ぐために地球環境を保全しつつ持続可能な手法での事業展開もまた、商品の魅力として活用できると考えている。
(株)トラバースでは、富山市街地に湧き出す湧水から、2450mの立山室堂までを訪れながら、湧水の起源を辿るツアーを実施している。このようなジオパークに資する旅行商品に対して、立山黒部ジオパークが価値づけし、広く紹介することでビジネスパートナーになりえる。
山岳地帯でツーリズムを行うためには、危険個所や急な天候変化への対応が求められる。立山黒部ジオパークでは、立山地域でのジオガイドを養成しているが、活動場所は危険性が少ない室堂周辺のみとしており、登山を要する地域では実施していない。このような場所でツアーを行うために、山岳ガイドが必要不可欠となることから、立山ガイド協会と協力し、山岳ツーリズムを行えるように準備している。例えば、立山(雄山3003m)の直下には、氷河が現存しており、この氷河を見るツアーなどの商品化が期待されている。これまでも山岳ガイドと連携したツアーを実施しており、その優位性を確認している。今後、山岳ツーリズムを実施するために、山岳ガイド向けのガイド講座を実施することとしている。
山岳ガイドのこれまで培ってきた危険の回避や事故の対応に対する優位性は、平野部のツーリズムにおいても活用できる。このことから、ジオガイドの養成講座でも必須の講座として山岳ガイドによるリスクマネージメント講座を開催している。