日本地球惑星科学連合2016年大会

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[O-04] ジオパークへ行こう

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

17:15 〜 18:30

[O04-P19] ジオツーリズムの現状と方向性〜山陰海岸ジオパークを事例に〜

*得田 雅人1松原 典孝1先山 徹1井口 博夫1 (1.兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科)

キーワード:山陰海岸ジオパーク、ジオツーリズム、来訪者満足度、ガイド、アウトドア・アクティビティ

ジオパークは,地域の自然遺産を保全しながら教育・普及とツーリズムに活用していくことにより,地域の遺産を生かした持続的な地域の発展を目指すことを理念としている.中でも持続性という観点に立てば,とりわけツーリズムの役割が欠かせないと指摘されている(渡辺,2008)が,これまでジオツーリズムの方向性について,定量的なデータに基づいて議論した研究例は少ない.山陰海岸ジオパークを事例に,ジオパークをツーリズムに活用するための方向性について考察した. Web解析やアンケート調査,聞き取り調査を行い,ジオツーリズムにおけるガイドおよびアウトドア・アクティビティの有効性について検証した.Web解析では,景勝地やアウトドア・アクティビティへの興味・関心が高く,今日の様子を風景写真とともに情報発信することが効果的であることが明らかとなった.来訪者へのアンケート調査では,ガイドを利用した人の方が利用しなかった人よりも満足度が高かったこと,アウトドア・アクティビティを利用した人の方が利用しなかった人よりもリフレッシュ・健康増進への満足度が高かったこと等が明らかとなった.ガイド団体・事業者への聞き取り調査では,ガイド活動を行っている団体は来訪者が非日常体験や精神的な癒し,リフレッシュを求めていることを意識していない傾向にあり,ガイド活動を行っていないアウトドア・アクティビティ事業者は,来訪者がガイドの解説への満足度が高いことを感じ取れていない傾向にあることが明らかとなった.以上のことから,ジオパークをツーリズムに活用するためのポイントは,美しい風景,アウトドア・アクティビティ,ガイドであるという結果を得た.さらに,ガイドとアウトドア・アクティビティ事業者は来訪者の満足度を高めることにおいて,お互いに補える部分がある.ジオパークに関わる人のネットワークづくりを行い,ネットワーク全体で美しい風景やガイド付きでアウトドア・アクティビティを行っている様子をSNSやホームページで定期的な情報発信を継続することができれば,より持続可能な地域の発展が期待できる.