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[O04-P43] ジオパーク秩父の露頭と化石ー国指定天然記念物ー
キーワード:秩父地域、国指定天然記念物
国の文化審議会は、平成27年11月20日(金)ジオパーク秩父の中に存在する6つの露頭と埼玉県立自然の博物館が所蔵する9件の哺乳類化石を「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」として天然記念物に指定するよう答申を決定しました。
内容は、秩父盆地の発生から終焉までを知ることのできる地質の見どころとそこに生息していた化石群です。地層と複数の化石が一緒に国の天然記念物に指定されるのは、全国で初めてのことです。
動物化石としては、中生代の爬虫類(ウタツサウルス・エゾミカサリュウ)が指定されており国内3例目です。新生代に繁栄した哺乳類化石が指定されるのも全国で初めてです。
埼玉県内では48年ぶりの国指定天然記念物の誕生となりました。明治以来の研究の成果と地元の人々によって大切に守られてきた露頭や化石が法的(文化財保護法第2条)にも保全されることになったわけです。ジオパーク秩父にとって、新たなストーリー作りや今後の保全活動に大きな追い風となりました。
6つの露頭 「前原の不整合」「犬木の不整合」「取方の大露頭」「ようばけ」「新田橋の礫岩露頭」「大野原パレオパラドキシア化石産地」
哺乳類化石 「秩父市大野原産出パレオパラドキシア骨格化石」「小鹿野町般若産出パレオパラドキシア骨格化石」「小鹿野町三山産出パレオパラドキシア骨格化石」「秩父市寺尾産出パレオパラドキシア頭骨化石」「皆野町大淵産出パレオパラドキシア化石」「秩父市栃谷産出パレオパラドキシア骨格化石」「秩父市大野原産出チチブクジラ骨格化石」「秩父市蓼沼産出チチブクジラ骨格化石」「小鹿野町般若産出オガノヒゲクジラ頭骨化石」
今回指定された露頭には、ジオパーク推進協議会が設置した解説看板があり、これらの露頭を組み込んだジオツアーを行っています。秩父盆地東側の美の山・山頂に上ると、盆地が一望でき約1500万年前の「古秩父湾」に想いをはせることができます。
明治以来、多くの地質学者や学生が訪れてきた露頭ですが、一般のひとにはなじみの薄いものでした。ジオパークになって4年、現在は多くの人の知るジオスポットになりました。
ジオパーク協議会では、小中学生の化石採集体験や講座の実施、中学校の理科室への化石展示支援、「おがの化石館」では、夏休み宿題応援イベントとして化石の模型作りと講座を行っています。講座では、脊椎動物化石を発見する手がかりである骨の海綿質構造等や発見した場合の対処の方法等、貴重な化石が失われることなく、新たな発見につながる見方を学ばせています(吉田ほか, 2014)。
指定となった哺乳類化石は、埼玉県立自然の博物館と小鹿野町立「おがの化石館」で見学できます。現在、論文化の進行しているパレオパラドキシア骨格化石(秩父市大田堀切産出)も存在し、ジオパーク秩父の活動により、これからも新たな追加や発見が見込まれます。
吉田健一・宮城 敏, 2014, ジオパーク秩父と化石を使った教育. 化石研究会誌, 46, 95-100.
内容は、秩父盆地の発生から終焉までを知ることのできる地質の見どころとそこに生息していた化石群です。地層と複数の化石が一緒に国の天然記念物に指定されるのは、全国で初めてのことです。
動物化石としては、中生代の爬虫類(ウタツサウルス・エゾミカサリュウ)が指定されており国内3例目です。新生代に繁栄した哺乳類化石が指定されるのも全国で初めてです。
埼玉県内では48年ぶりの国指定天然記念物の誕生となりました。明治以来の研究の成果と地元の人々によって大切に守られてきた露頭や化石が法的(文化財保護法第2条)にも保全されることになったわけです。ジオパーク秩父にとって、新たなストーリー作りや今後の保全活動に大きな追い風となりました。
6つの露頭 「前原の不整合」「犬木の不整合」「取方の大露頭」「ようばけ」「新田橋の礫岩露頭」「大野原パレオパラドキシア化石産地」
哺乳類化石 「秩父市大野原産出パレオパラドキシア骨格化石」「小鹿野町般若産出パレオパラドキシア骨格化石」「小鹿野町三山産出パレオパラドキシア骨格化石」「秩父市寺尾産出パレオパラドキシア頭骨化石」「皆野町大淵産出パレオパラドキシア化石」「秩父市栃谷産出パレオパラドキシア骨格化石」「秩父市大野原産出チチブクジラ骨格化石」「秩父市蓼沼産出チチブクジラ骨格化石」「小鹿野町般若産出オガノヒゲクジラ頭骨化石」
今回指定された露頭には、ジオパーク推進協議会が設置した解説看板があり、これらの露頭を組み込んだジオツアーを行っています。秩父盆地東側の美の山・山頂に上ると、盆地が一望でき約1500万年前の「古秩父湾」に想いをはせることができます。
明治以来、多くの地質学者や学生が訪れてきた露頭ですが、一般のひとにはなじみの薄いものでした。ジオパークになって4年、現在は多くの人の知るジオスポットになりました。
ジオパーク協議会では、小中学生の化石採集体験や講座の実施、中学校の理科室への化石展示支援、「おがの化石館」では、夏休み宿題応援イベントとして化石の模型作りと講座を行っています。講座では、脊椎動物化石を発見する手がかりである骨の海綿質構造等や発見した場合の対処の方法等、貴重な化石が失われることなく、新たな発見につながる見方を学ばせています(吉田ほか, 2014)。
指定となった哺乳類化石は、埼玉県立自然の博物館と小鹿野町立「おがの化石館」で見学できます。現在、論文化の進行しているパレオパラドキシア骨格化石(秩父市大田堀切産出)も存在し、ジオパーク秩父の活動により、これからも新たな追加や発見が見込まれます。
吉田健一・宮城 敏, 2014, ジオパーク秩父と化石を使った教育. 化石研究会誌, 46, 95-100.