日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG10] Small Solar System Bodies: General and Mars Satellite Sample Return Mission

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*中本 泰史(東京工業大学)、倉本 圭(北海道大学大学院理学院宇宙理学専攻)、渡邊 誠一郎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻)、石黒 正晃(ソウル大学物理天文学科)、荒川 政彦(神戸大学大学院理学研究科)、安部 正真(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、荒井 朋子(千葉工業大学惑星探査研究センター)、佐々木 晶(大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻)

17:15 〜 18:30

[PCG10-P12] Phase angle dependency on reflectance spectra and ultraviolet spectroscopy of carbonaceous chondrites.

*高松 知広1亀田 真吾1杉田 精司2 (1.立教大学理学部、2.東京大学大学院理学系研究地球惑星科学専攻)

キーワード:Small Solar System Bodies, Multi-band imaging, carbonaceous chondrite

2014年、C型小惑星「Ryugu」を目標天体とした小惑星探査機「はやぶさ2」が打ち上げられた。はやぶさ2におけるミッション目標の一つは、熱変成の進んでいない始原的な物質(含水鉱物)を地球へと持ち帰ることであり、Ryuguには、地上からの反射分光測定の結果[Vilas, 2008]から含水鉱物の存在を示す700nm吸収帯の存在が確認されている。はやぶさ2では、3つの可視カメラから成る光学航法カメラ(ONC)のうち7枚のバンドパスフィルタの備わった望遠カメラ「ONC-T」を用いてマルチバンド分光観測をおこなう。そしてその撮像結果から700nm吸収帯の存在する地点を特定し、着陸地点を決定する。したがってマルチバンド分光観測から700nm吸収帯の検出が可能であることを事前に確認しておくことが重要である。我々はこれまでに、ONC-Tのフライトモデルを用いて、C型小惑星に対応する反射スペクトルを持つ炭素質コンドライトに対する反射分光実験をおこない、太陽-Ryugu-はやぶさ2の位相角が30°のときに700nm吸収帯が検出可能であることを確認した[kameda et al, 2015]。しかし、はやぶさ2がRyuguへと到着し、出発するまでの2018年6月から2019年12月の期間において位相角は0°から40°の範囲で変化する。したがって、位相角30°以外においてもマルチバンド分光観測から700nm吸収帯が検出可能であることを検証する必要があると考えられる。
そこで本研究では、ONC-Tを模擬したカメラを用いて位相角0°から40°の範囲で炭素質コンドライトに対する反射分光実験をおこない、700nm吸収帯の深さ及び反射スペクトルの位相角依存性の測定を目指した。
本研究では、位相角が0°から40°の範囲での反射スペクトルを得るために、出射角を0°に固定し、入射角が0°から40°の範囲で可変な実験系をハーフミラーと回転ステージを用いることにより作製した。そしてその実験系で、ONC-Tで使われているCCDチップと同じものを組み込んだ模擬カメラと、ONC-Tに搭載されているバンドパスフィルタと同等の透過中心波長をもつフィルターを用いて、炭素質コンドライトの反射スペクトル及び700nm吸収帯の深さを各入射角において求めた。本発表では、その結果について報告する。
なお、本発表では、2022年に打ち上げを目指している「火星衛星探査計画」における、「紫外観測による衛星表面物質の同定に向けての検討」の経過についても併せて報告する予定である。