日本地球惑星科学連合2016年大会

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インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM03] Mesosphere-Thermosphere-Ionosphere Coupling in the Earth's Atmosphere

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*Liu Huixin(九州大学理学研究院地球惑星科学専攻 九州大学宙空環境研究センター)、齊藤 昭則(京都大学大学院理学研究科地球物理学教室)、Chang Loren(Institute of Space Science, National Central University)、新堀 淳樹(京都大学生存圏研究所)

17:15 〜 18:30

[PEM03-P03] Study of vertical / seasonal variation of gravity wave in the height range of 15-70km over Syowa Station in Antarctica using Rayleigh/Raman lidar

*木暮 優1中村 卓司1,2江尻 省1,2西山 尚典1,2冨川 喜弘1,2堤 雅基1,2 (1.総合研究大学院大学複合科学研究科、2.国立極地研究所)

キーワード:gravity wave, middle atmosphere, lidar

下層大気で発生した重力波は上方伝播し、中層大気へ運動量・エネルギーを輸送する。その効果は、中層大気の水平平均風を変化させ、大規模子午面循環を引き起こし、中層大気の鉛直気温プロファイルを大きく変化させることが定性的に理解されている[Lindzen, 1981; Holton, 1982; Matsuno, 1982]。しかし、現在でも重力波の水平平均風への定量的寄与は理解が不十分である。そのため、国立極地研究所は南極昭和基地(69°S, 40°E)にレイリー/ラマン(RR)ライダーを設置し、2011年2月から高度約5-80kmの気温観測を行い、重力波による気温擾乱を観測している。2014年10月終わりまでに350晩以上の観測を行っており現在も観測を継続している。
本研究では、昭和基地上空の高度15-70kmの月平均ポテンシャルエネルギー(Ep)を2011年5月から2013年10月まで(11、12、1月を除く)求めた。高度35-70kmの活動度は、昭和基地に近いDavis基地(69°S, 78°E)でレイリーライダー観測を行った先行研究[Alexanderetal.2011]と類似した冬極大の季節変動が見られた。同様に高度35km以下でも晩秋(5月)に活動度が上昇するのが見られた。しかし、高度35-70 kmと異なり晩冬(9月)に活動度が下がらなかった。月平均Epの高度変化については期間全体を通して、高度30 km以上では高度と共に指数関数的に増加し(増加率はおおむねexp(z/2H); H~7 km はスケールハイト)、高度30 km以下では25 km付近に極小、20 km付近に極大を持つことがわかった。しかし、2012年10月の月平均Epプロファイルはこれとは異なり、高度40-45kmに極小を持つ高度変化を示していた。全球気象再解析データ(NASA/MERRA)による昭和基地上空の東西風の季節変化と、観測で得られた月平均Epの高度分布の関係を調べた結果、2012年10月のプロファイルが異なる理由は、東西風が弱い高度域が下りてくる速度が他の年に比べて早かったことが原因だと考えられる。