日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM03] Mesosphere-Thermosphere-Ionosphere Coupling in the Earth's Atmosphere

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*Liu Huixin(九州大学理学研究院地球惑星科学専攻 九州大学宙空環境研究センター)、齊藤 昭則(京都大学大学院理学研究科地球物理学教室)、Chang Loren(Institute of Space Science, National Central University)、新堀 淳樹(京都大学生存圏研究所)

17:15 〜 18:30

[PEM03-P16] Long-term variation of ionospheric electric fields as seen in the amplitude of geomagnetic solar quiet daily variation

*新堀 淳樹1小山 幸伸2能勢 正仁3堀 智昭4大塚 雄一4 (1.京都大学生存圏研究所、2.情報システム研究機構・新領域融合研究センター、3.京都大学理学研究科地磁気センター、4.名古屋大学宇宙地球環境研究所)

キーワード:Geomagnetic solar quiet daily variation, Solar activity, Ionospheric electric field, Seasonal variation, Upper atmosphere, Equatorial region

地磁気日変化(Sq)は、電離圏E領域を流れる大規模電離圏電流によって引き起こされる。その電離圏電流は、正午付近の中緯度では負、赤道域では正の地磁気南北成分磁場をそれぞれ作る。オームの法則によれば、このSq磁場変動をもたらす物理パラメータは、電離圏電気伝導度、分極電場、そしてダイナモ電場からなる。したがって、Sq磁場変動の長期変動特性を調べることは、電離圏、および超高層大気の長期変動を理解する上で重要である。これまで観測とモデリングに基づくSq磁場変動の長期変動に関する多くの研究がなされてきたが、長期でかつ全球的な電離圏伝導度値の情報が不足していたために、全球にわたるSq電離圏電場の長期変動特性の実態はよくわかっていない。そこで本研究では、1958年から2015年までの地磁気と電離圏電気伝導度モデル値を用いて、全球のSq電離圏電場の長期変動特性(季節変動、太陽活動、長期トレンド)を調べ、電離圏と超高層大気の長期変動メカニズムを解明することを目的とする。ここでは、京大地磁気センターが管理するデータベースに登録されている地磁気Kp指数、および地磁気1時間値を使用した。また、Sq電場の太陽活動依存性を調べるために、月平均太陽F10.7指数を参照した。そして、高度80 km – 150 kmの範囲を積分した2次元電気伝導度モデル値をSq電場の導出の際に用いた。まず、各日のKp指数で4を超えない日を地磁気静穏日と同定し、その日に該当する中緯度から赤道域の地磁気データを選定した。同定された地磁気静穏日のおのおのの地磁気東西、南北成分について、真夜中の値からのずれをSq場による変動とみなし、それらを各時間について1ヶ月平均をした。最終的にオームの法則からSq場の東西、南北の磁場振幅と2次元電気伝導度からSq場の電離圏電場を導出した。その結果、グアム(赤道域)と女満別(中緯度)における正午付近のSq場の磁場変動と電離圏電気伝導度の長期変動は、1958年から2015年の間、明瞭な季節変化と11年太陽活動周期性を示した。そして、両者ともに太陽活動期において増加する傾向が見られた。Sq場の磁場変動の季節変化のパターンは、地磁気の成分によって異なっており、南北成分は、春分の時期に最大となるが、東西成分は、秋分の時期に最大になる。このような季節変動特性は、電離圏電気伝導度には見られなかった。一方、Sq場の電離圏東西、南北電場もまた明瞭な季節変化と11年太陽活動周期性を示したが、東西成分の電場は、緯度によって太陽活動依存性が異なっていた。それは、赤道域のグアムでは太陽活動と正の相関を示したが、中緯度域の女満別は、太陽活動極小期に東西電場の調度が増加するという反相関の関係にあった。このような傾向が全ての観測点において見られるかどうかを調べるために、20年以上の連続した地磁気データが存在する83の地磁気観測点におけるデータ解析を行った。その結果、太陽F10.7指数と東西電場の間のラグなしの相関係数の全球分布は、地理経度に関係なく、赤道域では正の値を、中緯度では負の値を示していた。よって、この結果から正午付近におけるSq場の電離圏東西電場の太陽活動依存性が全球的に見て赤道域と中緯度域と異なると言える。今後は、全ての地方時において太陽活動とSq電場との相関関係を調べ、太陽活動期にSqの東西電場強度の減少要因を明らかにする予定である。