17:15 〜 18:30
[PEM17-P04] ILE無衝突衝撃波実験におけるフォアショック不安定性の仮想協同トムソン散乱計測
キーワード:無衝突衝撃波、非平衡プラズマ、協同トムソン散乱
宇宙ではしばしば無衝突衝撃波が観測される。衝撃波近傍の非平衡プラズマの緩和過程は複雑であり、その詳細はよく理解されていない。近年、高強度レーザーを用いて無衝突衝撃波を実験室に再現できるようになってきた。我々は大阪大学レーザーエネルギー学研究センター(ILE)との共同実験により、無衝突衝撃波実験を行っている。実験で再現される衝撃波の遷移層構造を計測するのに、協同トムソン散乱計測を用いている。比較的低周波の電磁波がプラズマ電子の集団運動によって散乱される現象(協同トムソン散乱)を利用したもので、散乱光の特徴から、電子密度、電子およびイオンの温度、イオン価数、などの諸量を、プローブ光経路に沿った位置の関数として見積もることができる。プラズマが平衡状態に近い場合、ラングミュア波とイオン音波が散乱体となって、それぞれ電子光、イオン光と呼ばれる散乱光スペクトルのピークが得られることが知られている。一方、非平衡プラズマにおける協同トムソン散乱はこれまであまり研究されておらず、その理論的整備は遅れている。無衝突衝撃波では、衝撃波上流(フォアショック)にしばしばビームが形成され、ビーム不安定性が起こる。平衡プラズマでは、通常電子光強度は弱いため検出が難しいとされているが、非平衡プラズマでは、ビーム不安定性により電子光が増幅される可能性がある。そのため、ILEでの実験において電子光計測が計画されている。
実験結果の解釈には数値実験が不可欠である。従来、プラズマの第一原理計算法としてPIC(Particle-In-Cell)計算が知られている。PIC計算では、さまざまな非平衡プラズマ現象を自己無撞着に再現できる。しかし、通常のPIC計算で想定されている時間分解能では、高周波の協同トムソン散乱までを実パラメータで再現することはできない。ここでは、PIC計算で再現したプラズマ密度揺動のデータをもとに、散乱波の波動方程式を別途解くことで、実パラメータのもとで協同トムソン散乱を再現する数値実験システムを構築し、実験結果との直接比較に備える。ILE実験での典型的なパラメータ域に対して、フォアショックの電子ビーム不安定性を想定した場合の数値実験を行い、電子光スペクトルが増幅されることを確認した。発表では、さらにさまざまなビーム-プラズマ系を考え、各場合のTSスペクトルの特徴を精査する。
実験結果の解釈には数値実験が不可欠である。従来、プラズマの第一原理計算法としてPIC(Particle-In-Cell)計算が知られている。PIC計算では、さまざまな非平衡プラズマ現象を自己無撞着に再現できる。しかし、通常のPIC計算で想定されている時間分解能では、高周波の協同トムソン散乱までを実パラメータで再現することはできない。ここでは、PIC計算で再現したプラズマ密度揺動のデータをもとに、散乱波の波動方程式を別途解くことで、実パラメータのもとで協同トムソン散乱を再現する数値実験システムを構築し、実験結果との直接比較に備える。ILE実験での典型的なパラメータ域に対して、フォアショックの電子ビーム不安定性を想定した場合の数値実験を行い、電子光スペクトルが増幅されることを確認した。発表では、さらにさまざまなビーム-プラズマ系を考え、各場合のTSスペクトルの特徴を精査する。