日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS11] 惑星科学

2016年5月25日(水) 13:45 〜 15:15 104 (1F)

コンビーナ:*濱野 景子(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、鎌田 俊一(北海道大学 創成研究機構)、座長:奥住 聡(東京工業大学大学院理工学研究科)、小林 浩(名古屋大学理学研究科)

13:45 〜 14:00

[PPS11-01] 周惑星円盤内での微衛星形成とペブル集積

*芝池 諭人1奥住 聡1佐々木 貴教2 (1.東京工業大学理学院地球惑星科学系、2.京都大学大学院理学研究科宇宙物理学教室)

キーワード:衛星、衛星形成、ペブル集積、周惑星円盤、微衛星、ガス惑星

近年、大量のペブル(cmサイズの個体粒子)を集積することによって、微惑星がガス惑星のコアにまで急成長することが示唆されている。我々は、このペブル集積メカニズムがガス惑星周りの衛星形成にどのように影響するか調べた。我々は、1) ペブルサイズ粒子の原始惑星系円盤及び周惑星円盤内での成長と動径方向の移動、2) ガスとペブルの原始惑星系円盤から周惑星円盤への流入、3) 微衛星による周惑星円盤内でのペブル集積、を扱う、シンプルだが大局的なモデルを構築した。
結果、ほとんどのペブルが周惑星円盤に、円盤上空からではなく赤道面から、外向きのガス流に逆らって進入することがわかった。また、周惑星円盤内でのペブルの成長過程には、全く異なる二つの描像があるとわかった。一つは、あるクリティカルな軌道におけるペブル同士の直接合体成長による微衛星の形成とそれに続く微衛星同士の合体成長による衛星形成、もう一つは、そのクリティカルな軌道の外側での大きい微衛星によるペブル集積、である。クリティカルな軌道の位置は、円盤やペブルの条件によって決まる。我々は、周惑星円盤に進入するペブルと原始惑星系円盤外縁から落下してくるペブルの質量フラックスの比を表すパラメーター x を導入した。0.4 MJ の質量を持つ木星のような惑星の周惑星円盤内でのクリティカルな軌道の位置は、x = 1の時 r ~ 20 RJであり、 x = 0.1の時 r ~ 3 RJ であった。クリティカルな軌道の外側では、大きい微衛星が、自らの集積半径内のペブルを集積する。微衛星の質量が 1023-1024 g に到達すると集積半径が急激に拡大し、微衛星は急成長するとわかった。
我々は、周惑星円盤内での微衛星形成に道筋をつけ、微衛星によるペブル集積の大まかな描像を明らかにした。