日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS14] 宇宙における物質の形成と進化

2016年5月25日(水) 09:00 〜 10:25 104 (1F)

コンビーナ:*橘 省吾(北海道大学大学院理学研究院自然史科学専攻地球惑星システム科学分野)、三浦 均(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)、大坪 貴文(東京大学大学院総合文化研究科)、座長:橘 省吾(北海道大学大学院理学研究院自然史科学専攻地球惑星システム科学分野)

09:50 〜 10:10

[PPS14-04] アルマによるTW Hya周りの原始惑星系円盤中のCOガス観測

★招待講演

*野村 英子1塚越 崇2川邊 良平3石本 大貴4,1奥住 聡1武藤 恭之5金川 和弘6井田 茂7キャサリン ウォルシュ8トム ミラー9バイ シューニン10 (1.東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻、2.茨城大学理学部、3.国立天文台、4.京都大学大学院理学研究科宇宙物理学教室、5.工学院大学基礎・教養教育部門、6.シュチェチン大学、7.東京工業大学地球生命研究所、8.ライデン大学、9.クィーンズ大学ベルファスト、10.ハーバード・スミソニアン天体物理学センター)

キーワード:原始惑星系円盤、CO分子輝線、有機分子生成

近年の赤外線・電波観測技術の向上により、原始惑星系円盤の観測的研究が急激に進展している。特に大型ミリ波サブミリ波望遠鏡アルマによる高空間分解能・高感度観測は、円盤内の惑星形成領域の物理・化学構造を明らかにすると期待される。
本講演では、アルマによるTW Hyaまわりの原始惑星系円盤中の13COとC18O分子輝線観測の結果を報告する。13COよりガス温度を求め、C18Oよりガスの柱密度分布を求めた結果、COガスがCOスノーラインの内側でも非常に少ないことが明らかになった。H2ガスとCOガスの比が星間雲と同程度と仮定すると、ガス・ダスト比は1~0.1程度になり、星間雲の典型的なガス・ダスト比100に比べると2-3桁もガスが減少していることになる。解釈としては、実際にH2ガスがダストに比べて減少しているか、あるいはCOガスのみ減少しているかの2通りが考えられるが、ハーシェル宇宙望遠鏡によるTW Hyaまわりの円盤からのHD分子輝線観測の結果によると、H2ガスは十分に存在すると思われる。従って、H2ガスが減少しているわけではなく、COガスが減少していると考えられる。COスノーラインの内側でもCOガスが減少している原因としては、COがダスト表面反応により、有機分子など、より大きく蒸発しにくい分子になり、ダスト表面に留まっている可能性がある。