17:15 〜 18:30
[PPS15-P01] アルマ望遠鏡とそれを利用したエキサイティングな研究への招待
★招待講演
キーワード:惑星形成、原始惑星系円盤、電波天文学観測、ミリ波・サブミリ波
アルマ望遠鏡(ALMA = Atacama Large Millimeter/submillimeter Array)は、ヨーロッパ(ESO加盟の16カ国)、北アメリカ(アメリカ合衆国、カナダ)、東アジア(日本、台湾、韓国)がチリと協力して、チリ北部アンデス山中の標高5000mのアタカマ高地に建設・運用する国際的な観測施設で、波長約3.5mmから0.32mmのミリ波・サブミリ波を観測する極めて高い能力で天文学観測に革命をもたらしつつある。アルマは、口径12mのパラボラアンテナ54台と口径7mのパラボラアンテナ12台を組み合わせた開口合成型の電波望遠鏡(写真)で、アンテナの配置を変えることで、得られる電波画像の分解能を変えることができる。
2014年に行われた、長基線観測試験キャンペーンでは、アンテナの間隔(基線長)を最大15kmまで広げて観測波長0.87mmで0.025" (3.5AU) の空間分解能を達成し、若いT Tauri星HL Tauを取り巻く原始惑星系円盤に多数のリング/ギャップ構造があることを描き出して世界の研究者を驚かせた (ALMA Partnership et al. 2015, ApJL 808, L3)。アルマは様々な原始惑星円盤で、成長の初期段階にあるダストからの熱放射を高い感度と分解能で観測し、予想もしなかったような円盤の構造を次々に描き出している。また、分光観測では円盤中のガス成分(主成分はH2)に含まれる様々な分子の分布や運動をとらえ、snow lineや、中心星に向かって落ちていくガス中の化学反応による組成の変化が見いだされた。糖やシアン基を持つ分子などの生命に関連する分子も検出されている。アルマの観測によって、惑星形成の初期段階に関する私たちの理解は大きく進もうとしている。
アルマは、2011年の初期科学観測開始以来、4期(サイクル0-3)の観測プロポーザル公募による国際共同利用を行ってきた。最近は1年に1サイクルのペースで観測プロポーザルの募集が行われ、毎年4月にプロポーザル〆切が設定されている。日本を中心とする東アジアは、建設・運用の4分の1に貢献し、それにに見合う観測時間シェア(チリのシェア10%を除く90%の4分の1 = 全体の22.5%)を持っている。採用されたプロポーザルは、チリのアルマ観測所が提案者に代わり観測を行い、キャリブレーションを済ませたデータが提案者に届く。したがって、研究者はそれぞれ大学や研究所の研究室に居ながらにして、世界最先端の望遠鏡を使った研究を展開することができる。さらに、提案者のデータ占有期間(データが届いてから1年)が過ぎた観測データは、アーカイブデータとして世界に公開されるので、その観測を提案したかどうかにかかわらず誰でも解析して論文を書くことができる。アーカイブ利用も含めると1件の観測データから数編の論文が書かれることも珍しくない。
アルマの科学運用において利用者とのインターフェイスとなるのが日米欧に作られたアルマ地域センター (ARC = ALMA Regional Center) である。日本では東京都三鷹市の国立天文台に東アジア・アルマ地域センター (EA-ARC = East Asian ARC) が設置され、観測プロポーザルの募集、採用されたプロポーザルの観測手順書準備、観測されたデータの品質確認と配達、アーカイブデータの公開などを行っている。またヘルプデスクや担当サポートサイエンティストを通じて、プロポーザル準備やデータ解析の相談に応じている。
このようにアルマは、惑星形成の研究に大きな変革とチャンスをもたらしている。1人でも多くの研究者が、アルマとそのデータを用いた研究に参加されることを期待している。
国立天文台 アルマ
http://alma.mtk.nao.ac.jp
東アジア・アルマ地域センター
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/forresearchers/ea-arc/
アルマ観測所
http://www.almaobservatory.org
2014年に行われた、長基線観測試験キャンペーンでは、アンテナの間隔(基線長)を最大15kmまで広げて観測波長0.87mmで0.025" (3.5AU) の空間分解能を達成し、若いT Tauri星HL Tauを取り巻く原始惑星系円盤に多数のリング/ギャップ構造があることを描き出して世界の研究者を驚かせた (ALMA Partnership et al. 2015, ApJL 808, L3)。アルマは様々な原始惑星円盤で、成長の初期段階にあるダストからの熱放射を高い感度と分解能で観測し、予想もしなかったような円盤の構造を次々に描き出している。また、分光観測では円盤中のガス成分(主成分はH2)に含まれる様々な分子の分布や運動をとらえ、snow lineや、中心星に向かって落ちていくガス中の化学反応による組成の変化が見いだされた。糖やシアン基を持つ分子などの生命に関連する分子も検出されている。アルマの観測によって、惑星形成の初期段階に関する私たちの理解は大きく進もうとしている。
アルマは、2011年の初期科学観測開始以来、4期(サイクル0-3)の観測プロポーザル公募による国際共同利用を行ってきた。最近は1年に1サイクルのペースで観測プロポーザルの募集が行われ、毎年4月にプロポーザル〆切が設定されている。日本を中心とする東アジアは、建設・運用の4分の1に貢献し、それにに見合う観測時間シェア(チリのシェア10%を除く90%の4分の1 = 全体の22.5%)を持っている。採用されたプロポーザルは、チリのアルマ観測所が提案者に代わり観測を行い、キャリブレーションを済ませたデータが提案者に届く。したがって、研究者はそれぞれ大学や研究所の研究室に居ながらにして、世界最先端の望遠鏡を使った研究を展開することができる。さらに、提案者のデータ占有期間(データが届いてから1年)が過ぎた観測データは、アーカイブデータとして世界に公開されるので、その観測を提案したかどうかにかかわらず誰でも解析して論文を書くことができる。アーカイブ利用も含めると1件の観測データから数編の論文が書かれることも珍しくない。
アルマの科学運用において利用者とのインターフェイスとなるのが日米欧に作られたアルマ地域センター (ARC = ALMA Regional Center) である。日本では東京都三鷹市の国立天文台に東アジア・アルマ地域センター (EA-ARC = East Asian ARC) が設置され、観測プロポーザルの募集、採用されたプロポーザルの観測手順書準備、観測されたデータの品質確認と配達、アーカイブデータの公開などを行っている。またヘルプデスクや担当サポートサイエンティストを通じて、プロポーザル準備やデータ解析の相談に応じている。
このようにアルマは、惑星形成の研究に大きな変革とチャンスをもたらしている。1人でも多くの研究者が、アルマとそのデータを用いた研究に参加されることを期待している。
国立天文台 アルマ
http://alma.mtk.nao.ac.jp
東アジア・アルマ地域センター
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/forresearchers/ea-arc/
アルマ観測所
http://www.almaobservatory.org