17:15 〜 18:30
[SCG21-P07] Distribution of low frequency earthquakes accompanied with very low frequency earthquakes along the Ryukyu Trench
キーワード:very low frequency earthquake, low frequency earthquake, Ryukyu Trench
南西諸島では広範囲で超低周波地震が長期的かつ継続的に発生している。その超低周波地震は低周波地震を伴っている場合が多い。高橋・他(2015)では南部琉球海溝で海底地震観測をおこなった際に検出された超低周波地震と低周波地震を解析し、低周波地震が超低周波地震に伴って発生しているとした。これは長期的・琉球海溝の他地域でも一般的に見られる傾向なのか、さらに低周波地震は超低周波地震の震源近傍で発生しているのか明らかにするため、低周波地震の検出および震源決定をおこなった。
低周波地震の長期的発生傾向(2004年から2013年)はF-net広帯域地震記録に1Hzのhigh-pass filterをかけた波形を用い、超低周波地震が発生した時刻にそれに対応する低周波地震が近傍の観測点で見られるか否か、目視で調べた。その結果、低周波地震は長期的に2%(奄美地域)~16%(八重山地域)の割合で一定して見られることがわかった。M4.0以上の超低周波地震ではほぼ確実に低周波地震が観測される一方、M3.7以下の超低周波地震では低周波地震が観測されなかった。これは小さな超低周波地震ではノイズに紛れてしまうため低周波地震が観測されなかった可能性が高い。
次に低周波地震の震源決定をおこなった。震源決定には気象庁が南西諸島に設置している短周期地震計記録を用いた。超低周波地震のカタログ(Nakamura and Sunagawa, 2015)を用いて超低周波地震の群発活動を探し、その期間の気象庁短周期地震計記録を解析した。期間は2004年から2013年である。震源決定は地震観測網がある程度面的に配置してある八重山諸島近傍と沖縄本島周辺で発生した超低周波地震について実施した。低周波地震の観測点への相対到達時間はEnvelope Cross-correlation Method (Obara, 2002)を用いて決定した。地震波形の水平動成分を合成してその10秒間の二乗平均を計算して波形の外形を求めた。観測網内の観測点間の波形の相互相関を計算し、相関係数が0.85以上の組み合わせが4箇所以上であった場合、震源決定をおこなった。振幅はS波が卓越すると仮定してS波速度構造で震源決定をおこなった。
主な超低周波地震活動を選び、それに伴う低周波地震活動の震源を決めた結果、八重山諸島の場合、与那国島から西表島の南方沖で、かつ琉球海溝と南西諸島の間に震源が集中した。この位置は高橋・他(2015)が海底地震計で決定した低周波地震の位置に近い。ただし観測点配置が島にしか配置されていないこと、およびS波のみによる決定のため、海溝に沿う方向と直交する方向の位置誤差はそれぞれ30kmおよび70kmにおよぶ。しかし経度方向で比較すると、低周波地震の分布はSemblance法を用いて解析した超低周波地震の分布と非常によく対応する。このことから、八重山諸島では超低周波地震と低周波地震はおおよそ同じ場所で発生している傾向があるといえる。低周波地震は超低周波地震の発生と供に見られ、低周波地震単独での発生は殆ど見られない。また、沖縄本島近傍では低周波地震は沖縄島南部の南東側および沖永良部島の南東側で集中して発生していることが明らかになった。八重山諸島と沖縄本島周辺ともに低周波地震は半径約40kmのクラスター状に発生している。一方、海溝軸に沿った活動の移動現象は検出できなかった。これはこの地域では陸上観測網で観測可能な規模の低周波地震の移動現象は40km以内の狭い範囲で発生している可能性があることを示している。
低周波地震の長期的発生傾向(2004年から2013年)はF-net広帯域地震記録に1Hzのhigh-pass filterをかけた波形を用い、超低周波地震が発生した時刻にそれに対応する低周波地震が近傍の観測点で見られるか否か、目視で調べた。その結果、低周波地震は長期的に2%(奄美地域)~16%(八重山地域)の割合で一定して見られることがわかった。M4.0以上の超低周波地震ではほぼ確実に低周波地震が観測される一方、M3.7以下の超低周波地震では低周波地震が観測されなかった。これは小さな超低周波地震ではノイズに紛れてしまうため低周波地震が観測されなかった可能性が高い。
次に低周波地震の震源決定をおこなった。震源決定には気象庁が南西諸島に設置している短周期地震計記録を用いた。超低周波地震のカタログ(Nakamura and Sunagawa, 2015)を用いて超低周波地震の群発活動を探し、その期間の気象庁短周期地震計記録を解析した。期間は2004年から2013年である。震源決定は地震観測網がある程度面的に配置してある八重山諸島近傍と沖縄本島周辺で発生した超低周波地震について実施した。低周波地震の観測点への相対到達時間はEnvelope Cross-correlation Method (Obara, 2002)を用いて決定した。地震波形の水平動成分を合成してその10秒間の二乗平均を計算して波形の外形を求めた。観測網内の観測点間の波形の相互相関を計算し、相関係数が0.85以上の組み合わせが4箇所以上であった場合、震源決定をおこなった。振幅はS波が卓越すると仮定してS波速度構造で震源決定をおこなった。
主な超低周波地震活動を選び、それに伴う低周波地震活動の震源を決めた結果、八重山諸島の場合、与那国島から西表島の南方沖で、かつ琉球海溝と南西諸島の間に震源が集中した。この位置は高橋・他(2015)が海底地震計で決定した低周波地震の位置に近い。ただし観測点配置が島にしか配置されていないこと、およびS波のみによる決定のため、海溝に沿う方向と直交する方向の位置誤差はそれぞれ30kmおよび70kmにおよぶ。しかし経度方向で比較すると、低周波地震の分布はSemblance法を用いて解析した超低周波地震の分布と非常によく対応する。このことから、八重山諸島では超低周波地震と低周波地震はおおよそ同じ場所で発生している傾向があるといえる。低周波地震は超低周波地震の発生と供に見られ、低周波地震単独での発生は殆ど見られない。また、沖縄本島近傍では低周波地震は沖縄島南部の南東側および沖永良部島の南東側で集中して発生していることが明らかになった。八重山諸島と沖縄本島周辺ともに低周波地震は半径約40kmのクラスター状に発生している。一方、海溝軸に沿った活動の移動現象は検出できなかった。これはこの地域では陸上観測網で観測可能な規模の低周波地震の移動現象は40km以内の狭い範囲で発生している可能性があることを示している。