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[SCG56-P01] 北部九州東部に分布する油須原花崗岩の化学組成と活動時期
キーワード:油須原花崗岩、ジルコンU-Pb年代、北部九州白亜紀花崗岩類
北部九州白亜紀花崗岩類分布域の東部に分布する油須原花崗岩は,東部地域における火成活動末期に形成されたと考えられているが,岩相や分布についての見解は統一されていない(唐木田,1985;久保ほか,1993;村上,1994).そこで,本花崗岩の岩相と化学組成から岩相区分を検討し,マグマの分化過程を考察した.さらにジルコンのU-Pb年代を,LA-ICP-MSを用いて測定し,活動時期を検討した.
油須原花崗岩は,朝倉花崗閃緑岩,添田花崗閃緑岩,真崎花崗岩に貫入する.油須原花崗岩は,主岩相,優黒質斑状岩相,優白質岩相に区分される.主岩相は,主に北部の岩体を構成し,細粒塊状黒雲母~両雲母花崗岩からなる.優黒質斑状岩相は,主岩相内の小岩体として産し,中~細粒斑状普通角閃石黒雲母花崗閃緑岩からなる.主岩相に比べ優黒質で,長径5mmに達する黒雲母,普通角閃石,不透明鉱物の集合体を含む.本岩相には,同時性苦鉄質岩脈も認められる.優白質岩相は,主岩相とは別の小岩体を形成し,細~粗粒塊状両雲母~白雲母~黒雲母花崗岩からなり,一部ザクロ石を含む.
主岩相,優白質岩相および優黒質斑状岩相のSiO2含有量は,それぞれ69.9wt.%~76.0wt.%,75.6~77.0wt.%,64.7~68.7wt.%である.ハーカー図において,主岩相と優白質岩相の組成変化傾向は連続的である.優黒質斑状岩相は,多くの元素で主岩相の変化傾向の延長上にプロットされず,主岩相と真崎花崗岩中に分布する普通角閃石-黒雲母花崗閃緑岩の間にプロットされる.
主岩相と優白質岩相は,連続的な変化傾向を示すため,同じマグマの分化によって形成されたと考えられる.優白質岩相は,主岩相とは異なる岩体を形成するため,これらの下にマグマ溜まりが存在し,そこから初期に貫入したマグマが主岩相からなる岩体を形成し,その後のより分化したマグマの貫入により優白質岩相からなる岩体が形成されたと考えられる.優黒質斑状岩相は,岩体内での組織,モード組成,化学組成の変化が大きい.さらにハーカー図において,主岩相と花崗閃緑岩の間にプロットされることから,両マグマの混合によって形成されたと考えられる.
油須原花崗岩主岩相と真崎花崗岩中に分布する花崗閃緑岩のジルコンU-Pb年代は98.6 +/- 0.9 Maと98.7 +/- 0.6 Maであり,それぞれの活動時期を示すと考えられ,柚原ほか(2015)によって報告された添田花崗閃緑岩(107.4,103.1 Ma)および真崎花崗岩(103.7 Ma)のジルコンU-Pb年代よりも明らかに若い.したがって,両岩体は東部地域の火成活動末期にほぼ同時に活動したと考えられる.
油須原花崗岩は,朝倉花崗閃緑岩,添田花崗閃緑岩,真崎花崗岩に貫入する.油須原花崗岩は,主岩相,優黒質斑状岩相,優白質岩相に区分される.主岩相は,主に北部の岩体を構成し,細粒塊状黒雲母~両雲母花崗岩からなる.優黒質斑状岩相は,主岩相内の小岩体として産し,中~細粒斑状普通角閃石黒雲母花崗閃緑岩からなる.主岩相に比べ優黒質で,長径5mmに達する黒雲母,普通角閃石,不透明鉱物の集合体を含む.本岩相には,同時性苦鉄質岩脈も認められる.優白質岩相は,主岩相とは別の小岩体を形成し,細~粗粒塊状両雲母~白雲母~黒雲母花崗岩からなり,一部ザクロ石を含む.
主岩相,優白質岩相および優黒質斑状岩相のSiO2含有量は,それぞれ69.9wt.%~76.0wt.%,75.6~77.0wt.%,64.7~68.7wt.%である.ハーカー図において,主岩相と優白質岩相の組成変化傾向は連続的である.優黒質斑状岩相は,多くの元素で主岩相の変化傾向の延長上にプロットされず,主岩相と真崎花崗岩中に分布する普通角閃石-黒雲母花崗閃緑岩の間にプロットされる.
主岩相と優白質岩相は,連続的な変化傾向を示すため,同じマグマの分化によって形成されたと考えられる.優白質岩相は,主岩相とは異なる岩体を形成するため,これらの下にマグマ溜まりが存在し,そこから初期に貫入したマグマが主岩相からなる岩体を形成し,その後のより分化したマグマの貫入により優白質岩相からなる岩体が形成されたと考えられる.優黒質斑状岩相は,岩体内での組織,モード組成,化学組成の変化が大きい.さらにハーカー図において,主岩相と花崗閃緑岩の間にプロットされることから,両マグマの混合によって形成されたと考えられる.
油須原花崗岩主岩相と真崎花崗岩中に分布する花崗閃緑岩のジルコンU-Pb年代は98.6 +/- 0.9 Maと98.7 +/- 0.6 Maであり,それぞれの活動時期を示すと考えられ,柚原ほか(2015)によって報告された添田花崗閃緑岩(107.4,103.1 Ma)および真崎花崗岩(103.7 Ma)のジルコンU-Pb年代よりも明らかに若い.したがって,両岩体は東部地域の火成活動末期にほぼ同時に活動したと考えられる.