16:45 〜 17:00
[SCG57-12] 背弧拡大のダイナミクス
キーワード:沈み込み帯、スラブーマントル相互作用、数値モデル
背弧拡大は数1000万年の時間スケールで間欠的に起きており、そのような周期性のメカニズムを理解することは、地球全体のテクトニクスや物質循環を理解する上でも重要である。本研究では、数値モデルにより背弧拡大とスラブ-マントル間相互作用の関係を検討し、実際の沈み込み帯の背弧拡大史や地震波トモグラフィーから推定されるスラブの形状と比較することにより、背弧拡大のダイナミクス、とくに背弧拡大の開始や停止の条件について検討した。
数値モデルは深さ1200 km、幅4000 kmの領域で、大陸地殻、海洋地殻、上部マントル、マントル遷移帯、下部マントルからなり、さらにスラブ表面深度が80〜200 kmの範囲の上部マントルをより粘性の低いマントルウェッジとしている。各物質に対して、温度圧力に依存する粘性と有効摩擦係数と最大降伏応力によって決まる粘塑性の構成則を仮定し、最大降伏応力(スラブの強度)、410km相転移のクラペイロン勾配、および海洋地殻の有効摩擦係数(プレート境界の強度)の条件を変えて計算を行った。
多くの計算条件において、スラブーマントル相互作用を通して、スラブ形状の変化と背弧拡大が周期的に起こる結果が得られ、その周期は計算条件に応じて変化する。最大降伏応力が小さい(200 MPa)と、座屈を繰り返し折りたたまれたスラブの形状を示すのに対し、最大降伏応力が大きい(800 MPa)とあまり座屈せず背弧が拡大し続ける結果となった。多くの背弧海盆は10〜20 Myrの期間で形成されていること、および最近の地震波トモグラフィーでは折りたたまれたスラブの形状は認められないことから、最大降伏応力500 MPaの計算結果が実際の沈み込み帯の現象をよく再現していると考えられる。これらの結果を伊豆—小笠原—マリアナ弧のスラブの形状や背弧拡大の歴史と比較することにより、背弧拡大の開始や停止の条件について議論する。
数値モデルは深さ1200 km、幅4000 kmの領域で、大陸地殻、海洋地殻、上部マントル、マントル遷移帯、下部マントルからなり、さらにスラブ表面深度が80〜200 kmの範囲の上部マントルをより粘性の低いマントルウェッジとしている。各物質に対して、温度圧力に依存する粘性と有効摩擦係数と最大降伏応力によって決まる粘塑性の構成則を仮定し、最大降伏応力(スラブの強度)、410km相転移のクラペイロン勾配、および海洋地殻の有効摩擦係数(プレート境界の強度)の条件を変えて計算を行った。
多くの計算条件において、スラブーマントル相互作用を通して、スラブ形状の変化と背弧拡大が周期的に起こる結果が得られ、その周期は計算条件に応じて変化する。最大降伏応力が小さい(200 MPa)と、座屈を繰り返し折りたたまれたスラブの形状を示すのに対し、最大降伏応力が大きい(800 MPa)とあまり座屈せず背弧が拡大し続ける結果となった。多くの背弧海盆は10〜20 Myrの期間で形成されていること、および最近の地震波トモグラフィーでは折りたたまれたスラブの形状は認められないことから、最大降伏応力500 MPaの計算結果が実際の沈み込み帯の現象をよく再現していると考えられる。これらの結果を伊豆—小笠原—マリアナ弧のスラブの形状や背弧拡大の歴史と比較することにより、背弧拡大の開始や停止の条件について議論する。