日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG59] 海洋底地球科学

2016年5月25日(水) 15:30 〜 17:00 301B (3F)

コンビーナ:*沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)、田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)、石塚 治(産業技術総合研究所活断層火山研究部門)、土岐 知弘(琉球大学理学部)、高橋 成実(海洋研究開発機構地震津波海域観測研究開発センター)、座長:山本 揚二朗(海洋研究開発機構)、山下 幹也(海洋研究開発機構 地震津波海域観測研究開発センター)

16:30 〜 16:45

[SCG59-11] オントンジャワ海台の厚い地殻の広がり推定

*三浦 誠一1藤江 剛1白井 太朗1野口 直人1荒木 英一郎1コフィン ミラード2カワグル サイモン3ヴェラヴ ロナルド4 (1.海洋研究開発機構、2.タスマニア大学、3.パプアニューギニア大学、4.パプアニューギニア鉱物資源庁)

キーワード:大規模火成岩区域、オントンジャワ海台、MCS、OBS、地殻、モホ面

地球上で最大級の海台であるオントンジャワ海台(OJP)は西太平洋に位置し、その面積は1.86x10の6乗平方キロメートル(Coffin and Eldholm (1994))であり、日本の約5倍の範囲である。この巨大なオントンジャワ海台で行われた深海掘削の結果(例えばShipboard Scientific Party, 2001)によると基盤岩である玄武岩の年代は概ね120Maであり、広大な範囲が地質学的に短期間に形成されたことがわかっている。このような巨大な海台は通常のプレートテクトニクス理論では説明できないが、既存の観測結果をすべて説明する形成モデルはまだ存在しない。その形成モデルを考えるうえで重要な情報の一つとして地殻構造があり、1960年代から地殻構造探査が行われてきている。しかし地殻全体の厚さやモホ面に言及したものは数が限られている(例えばFurumoto et al., 1976, Gladczenko et al., 1997)。OJPがソロモン島弧と衝突している南端部ではモホ面深度が35㎞程度とされている(Miura et al., 2004)が中央部の厚さは観測手法による差があって決着していなかった。そのため2010年に、OJP中央部の南北測線において、大容量エアガンアレイと100台の海底地震計(OBS)および6㎞長のストリーマーケーブルによるマルチチャンネル反射法(MCS)システムを用いた地震学的構造探査が行われた(Miura et al., 2011)。フォーワードモデリングによる解析(Miura et al., 2013)だけでなく、初動走時トモグラフィとモホ面からの反射波(PmP)を用いた走時インバージョン解析、および反射波に着目した有限差分法による波形計算(Larsen and Grieger, 1998)を実行した(Miura et al., 2014, 2015)。その結果モホ面深度はOJP中央部で40km 以上と最も厚くなっていることがわかった。しかし、その地殻の厚さが2010年の調査域以外でどのようになっているのか、よくわかっていない。そのため1998年に白鳳丸にて取得した地震探査データ(Araki et al., 1998)や過去の研究結果(例えばFurumoto et al., 1976, Gladczenko et al., 1997)を用いて、2010年の調査域の横方向への広がりについて把握する予定である。この結果OJP全体の地殻の厚さ分布が推定でき、体積や地殻形成率の見積ができるだろう。これらはOJP形成における周辺環境への影響や形成モデル推定に重要な示唆を与えると考えられる。