日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG59] 海洋底地球科学

2016年5月26日(木) 15:30 〜 16:45 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)、田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)、石塚 治(産業技術総合研究所活断層火山研究部門)、土岐 知弘(琉球大学理学部)、高橋 成実(海洋研究開発機構地震津波海域観測研究開発センター)

15:30 〜 16:45

[SCG59-P14] 相模湾初島沖海底ケーブル型観測システムによる13年間の深海底冷湧水域環境ガンマ線連続観測

*岩瀬 良一1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構)

キーワード:NaI(Tl) シンチレーション検出器、泥流、海底ケーブル型多目的観測システム

相模湾初島沖水深1175mの海底冷湧水域において、1993年以降、多種類のセンサを搭載した海底ケーブル型観測システムによる深海環境の多目的観測が実施されている。3インチNaI(Tl)シンチレーション検出器を使用したガンマ線センサを搭載した現在の観測システムは2000年に現在の位置より約40m北に設置された後、2002年3月の回収を経て、2002年11月に現在の地点に再設置され、それ以降現在に至るまで13年以上に渡って連続観測を実施している。ガンマ線センサを含む観測システムの仕様及び2011年東北地方太平洋沖地震(以下、「2011年東北沖地震」と呼ぶ)以前の観測結果の概要は、文献1,2に示されている。本発表では、現在までの観測結果について報告する。観測された主なイベントとしては以下の通り。
2011年東北沖地震発生後、核種Bi-214及びK-40の信号強度の増加が観測された。これは当該地震自体によるものではなく、その4日後の3月15日に発生した静岡県東部地震(M6.4)に伴って発生した泥流に起因するものと考えられる。
このイベントの後、無人探査機(ROV)による観測システム近傍における海底作業に起因する変動以外にあまり顕著な変動は見られない。
2014年12月以降Bi-214の信号強度の継続的な漸減が観測されている。一方、K-40の信号強度の漸減は、2011年東北沖地震以降の比較的早い時期、2011年10月頃から発生しているように見える。但し、本ガンマ線センサの分解能の制約から、Bi-214の信号強度には、福島第一原発事故に伴うCs-137の影響が含まれている可能性がある。
全観測期間を通じたもっとも顕著な変動は、2006年10月に発生したBi-214の大きな信号強度増加である。その変動パターンは、泥流に伴う堆積やROVによる海底作業等、海底表層の擾乱に起因する他の変動パターンとは異なっており、海底下のイベント、即ち地殻変動等を反映したものである可能性が高い。
引用文献
1) Kumagai, et al., Gamma Radiation (Intech, Croatia, 2012), DOI:10.5772/36392, p.64.
2) 岩瀬・高橋, 2011年地球惑星科学連合大会, SCG059-P19 (2011).