15:30 〜 16:45
[SCG59-P17] 海底地下モデリング及び波動場シミュレーションによる地震波応答の評価
キーワード:メタンハイドレート、モニタリング,タイムラプス
研究背景
近年に日本近海に濃集している海底資源であるメタンハイドレートに注目が集まっており、国内の企業や研究機関により研究開発が進められている。メタンハイドレートには、地球内部から湧き上がる熱分解起源メタンガスによる表層型と、生物分解起源メタンガスが砂層孔隙中に充填した砂層型がある(松本ほか,2009)。表層型メタンハイドレート賦存海域での3次元地震探査は2008年に実施されている(佐伯ほか,2009)が、開発に伴うメタンハイドレートの崩壊や漏洩のリスク管理として、時間密度の高く、海底に接近した形の新しい探査方法の研究が進められている(鶴我ほか,2013)。
研究目的・手法
本研究の目的は、表層型メタンハイドレートが賦存する海底地下構造のモデル構築及び波動場シミュレーションにより、海底地下モニタリングに有効な波相同定と定量的評価である。新潟県上越沖海域における、基礎物理探査「佐渡沖南西」の探査解析結果(佐伯ら、2009)を参考に、以下3パターンの海底地下モデルを作成した:((モデル1)MH層を含まない水平多層構造モデル,(モデル2)MHを含む水平多層構造モデル(モデル3)砂層中にMH層を部分的に含むモデル)。
結果
上記のモデルは、4層構造のモデルになっており、海水-MH層(砂層)-泥層-火成岩層(音響基盤)である。このモデルにおいて、弾性波有限差分法(Larsen,2000)を用いて波動場計算行い、地震波形記録を得た。各層からの反射波を同定し有効な波相を同定した。また(モデル1)と(モデル2)の比較からメタンハイドレートが存在する場合に特有な波相が観測可能か検証し、適正な観測アレイデザインの検討も行った。
その結果、(モデル1)は水平多層構造であるため特質した波相は確認されなかった。(モデル2)ではMH層が周辺に比べて高速度層になっており、第2層反射波が第1層メタンハイドレート層反射波より先に伝わる地点があることが確認された。(モデル3)ではメタンハイドレート層が砂層中の鉛直方向の境界を作るため、地層境界以外からの反射波が確認された。
また、(モデル1)と(モデル2)の地震波形記録の比較から、高速度層による逆転層からの反射波が確認されやすい観測アレイデザインは、海面発振時では海面での水平方向アレイとMH層を通る鉛直方向アレイであり、海底発振時には海底面での水平方向アレイと、MH層を挟む2つの鉛直方向アレイであった。
考察・結論・今後の課題
表層型メタンハイドレート層に特有な波相は、速度逆転層による波線及び走時曲線の逆転また、不均質構造による地層境界以外の反射波の発生であると考えられる。また、そのモニタリングの際に海面発振の場合では水平方向及び鉛直方向アレイの「T型複合観測アレイ」、海底発振の場合では1つの水平方向アレイと2つの鉛直方向アレイによる「H型複合観測アレイ」が適正であると結論付けた。今後の課題としては、震源波形と観測値波形のデコンボリューションによる伝達関数の計算から表層型メタンハイドレート層の周波数特性の評価のための解析を行うと同時に⑶での反射波以外の観測波の同定も行う必要があると考えられる。
近年に日本近海に濃集している海底資源であるメタンハイドレートに注目が集まっており、国内の企業や研究機関により研究開発が進められている。メタンハイドレートには、地球内部から湧き上がる熱分解起源メタンガスによる表層型と、生物分解起源メタンガスが砂層孔隙中に充填した砂層型がある(松本ほか,2009)。表層型メタンハイドレート賦存海域での3次元地震探査は2008年に実施されている(佐伯ほか,2009)が、開発に伴うメタンハイドレートの崩壊や漏洩のリスク管理として、時間密度の高く、海底に接近した形の新しい探査方法の研究が進められている(鶴我ほか,2013)。
研究目的・手法
本研究の目的は、表層型メタンハイドレートが賦存する海底地下構造のモデル構築及び波動場シミュレーションにより、海底地下モニタリングに有効な波相同定と定量的評価である。新潟県上越沖海域における、基礎物理探査「佐渡沖南西」の探査解析結果(佐伯ら、2009)を参考に、以下3パターンの海底地下モデルを作成した:((モデル1)MH層を含まない水平多層構造モデル,(モデル2)MHを含む水平多層構造モデル(モデル3)砂層中にMH層を部分的に含むモデル)。
結果
上記のモデルは、4層構造のモデルになっており、海水-MH層(砂層)-泥層-火成岩層(音響基盤)である。このモデルにおいて、弾性波有限差分法(Larsen,2000)を用いて波動場計算行い、地震波形記録を得た。各層からの反射波を同定し有効な波相を同定した。また(モデル1)と(モデル2)の比較からメタンハイドレートが存在する場合に特有な波相が観測可能か検証し、適正な観測アレイデザインの検討も行った。
その結果、(モデル1)は水平多層構造であるため特質した波相は確認されなかった。(モデル2)ではMH層が周辺に比べて高速度層になっており、第2層反射波が第1層メタンハイドレート層反射波より先に伝わる地点があることが確認された。(モデル3)ではメタンハイドレート層が砂層中の鉛直方向の境界を作るため、地層境界以外からの反射波が確認された。
また、(モデル1)と(モデル2)の地震波形記録の比較から、高速度層による逆転層からの反射波が確認されやすい観測アレイデザインは、海面発振時では海面での水平方向アレイとMH層を通る鉛直方向アレイであり、海底発振時には海底面での水平方向アレイと、MH層を挟む2つの鉛直方向アレイであった。
考察・結論・今後の課題
表層型メタンハイドレート層に特有な波相は、速度逆転層による波線及び走時曲線の逆転また、不均質構造による地層境界以外の反射波の発生であると考えられる。また、そのモニタリングの際に海面発振の場合では水平方向及び鉛直方向アレイの「T型複合観測アレイ」、海底発振の場合では1つの水平方向アレイと2つの鉛直方向アレイによる「H型複合観測アレイ」が適正であると結論付けた。今後の課題としては、震源波形と観測値波形のデコンボリューションによる伝達関数の計算から表層型メタンハイドレート層の周波数特性の評価のための解析を行うと同時に⑶での反射波以外の観測波の同定も行う必要があると考えられる。