15:30 〜 16:45
[SCG59-P18] 次世代型海洋観測技術による高精度4次元モニタリング-海底接近型地下構造モニタリング手法の確立―
キーワード:海底、4D地下モニタリング、海底資源開発、AUV
本研究は、海中ロボットなどの次世代型海洋観測技術を用い、海底に接近して海底下構造の時間変化をモニタリングするための手法の確立を目指している。本発表では、東京海洋大学における弾性波を用いた地下モニタリング手法の確立に関わる研究と観測システムを紹介する。
海洋は、物理・化学・生物・地球科学のプロセスが密接に連関して機能する一つのシステムである。東京海洋大学では、環境評価に役立つ海洋観測技術の開発・研究の向上と、海洋開発における環境アセスメントへの貢献、新たな時代の海洋開発や環境調査に貢献できる人材の育成を目的とした教育・研究がなされている。海中ロボットや練習船等のリソースを活用し、海洋開発による環境擾乱による海洋および海底下の環境変動について、種々の高密度の時空間分布データのリアルタイムモニタリング手法の確立を目標としている。
本研究では、海洋開発を念頭に、数100m~数km四方の比較的狭い範囲で生じる海底の擾乱に伴う海洋環境の地球科学的な変化をいくつかの研究ステップを通して実現したいと考えている。具体的には、自律型海中ロボット(AUV)を活用し、①海底設置自律式観測や海中曳航式観測が可能なシステムを開発し、②水域試験による機動的観測および海底設置型観測の同時展開を実現し、③試験データによる地下伝播特性および変化検出のための評価を行うことで、海域での地下モニタリングのための基礎技術を確立し、将来の深海観測に向けた課題抽出を行う。現在、我々は、観システムの研究開発(例えば鶴我ほか、2013)だけでなく、メタンハイドレートや海底熱水鉱床などの海底資源貯留層をターゲットとした波動場シミュレーションから地震学的特徴を定量的に理解する理論的研究(例えば、Tsuruga et al.,2010; 立花・鶴我, 2015;茂木・鶴我、本学会)や、陸上での精密制御観測システムACROSSを用いた地下モニタリングの実証研究(例えばKasahara et al., 2012; Tsuruga et al., 2012)などを実施している。発表では、現在開発中の自律式観測と海中曳航式観測の両方で利用できる小型海中震源システムなどを主に紹介する。これは、AUVによる機動的観測を水深2000m程度までを当面の目標とし、AUVに搭載したソーナーや小型音源アレイなどによる詳細な海底地形および地下構造の音波探査などによる機動観測と、海底設置型の人工震源装置および海底地震計を用いた定常観測を組み合わせた、高い時空間分解能の高精度リアルタイム海底下モニタリングを実現するためのものである。将来的には、海底~海面までの海中の水温や塩分等の各種化学成分などの詳細な3次元空間分布のリアルタイムモニタリングの実現も視野に入れ、AUVおよび観測機器格納システムに装備する脱着機構は汎用性を考慮した設計としている。また、小型原子時計を発震および受振システムの各々に搭載したシステムとし、従来の海中観測における大きな課題の1つであった正確な時刻取得についてクリアした。観測システムが完成後は、ACROSS技術を導入した高精度な位相制御震源アレイと自律型受振アレイを用いた波の海底下・海中での伝播特性評価のための海域試験を予定しており、実海域での試験観測の実施を経て、観測ストラテジー確立のための統合観測運用の検討を行う計画である。
海洋は、物理・化学・生物・地球科学のプロセスが密接に連関して機能する一つのシステムである。東京海洋大学では、環境評価に役立つ海洋観測技術の開発・研究の向上と、海洋開発における環境アセスメントへの貢献、新たな時代の海洋開発や環境調査に貢献できる人材の育成を目的とした教育・研究がなされている。海中ロボットや練習船等のリソースを活用し、海洋開発による環境擾乱による海洋および海底下の環境変動について、種々の高密度の時空間分布データのリアルタイムモニタリング手法の確立を目標としている。
本研究では、海洋開発を念頭に、数100m~数km四方の比較的狭い範囲で生じる海底の擾乱に伴う海洋環境の地球科学的な変化をいくつかの研究ステップを通して実現したいと考えている。具体的には、自律型海中ロボット(AUV)を活用し、①海底設置自律式観測や海中曳航式観測が可能なシステムを開発し、②水域試験による機動的観測および海底設置型観測の同時展開を実現し、③試験データによる地下伝播特性および変化検出のための評価を行うことで、海域での地下モニタリングのための基礎技術を確立し、将来の深海観測に向けた課題抽出を行う。現在、我々は、観システムの研究開発(例えば鶴我ほか、2013)だけでなく、メタンハイドレートや海底熱水鉱床などの海底資源貯留層をターゲットとした波動場シミュレーションから地震学的特徴を定量的に理解する理論的研究(例えば、Tsuruga et al.,2010; 立花・鶴我, 2015;茂木・鶴我、本学会)や、陸上での精密制御観測システムACROSSを用いた地下モニタリングの実証研究(例えばKasahara et al., 2012; Tsuruga et al., 2012)などを実施している。発表では、現在開発中の自律式観測と海中曳航式観測の両方で利用できる小型海中震源システムなどを主に紹介する。これは、AUVによる機動的観測を水深2000m程度までを当面の目標とし、AUVに搭載したソーナーや小型音源アレイなどによる詳細な海底地形および地下構造の音波探査などによる機動観測と、海底設置型の人工震源装置および海底地震計を用いた定常観測を組み合わせた、高い時空間分解能の高精度リアルタイム海底下モニタリングを実現するためのものである。将来的には、海底~海面までの海中の水温や塩分等の各種化学成分などの詳細な3次元空間分布のリアルタイムモニタリングの実現も視野に入れ、AUVおよび観測機器格納システムに装備する脱着機構は汎用性を考慮した設計としている。また、小型原子時計を発震および受振システムの各々に搭載したシステムとし、従来の海中観測における大きな課題の1つであった正確な時刻取得についてクリアした。観測システムが完成後は、ACROSS技術を導入した高精度な位相制御震源アレイと自律型受振アレイを用いた波の海底下・海中での伝播特性評価のための海域試験を予定しており、実海域での試験観測の実施を経て、観測ストラテジー確立のための統合観測運用の検討を行う計画である。