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[SCG60-P01] 内陸地震震源域下の流体の分布と起源
キーワード:ヘリウム同位体、比抵抗構造
内陸地震の震源域下の中~下部地殻には,比抵抗構造の顕著な不均質性が認められる.鳥取県西部地震や鹿児島北西部地震のように横ずれ型の震源断層は,高比抵抗体と低比抵抗体の境界ではなく,やや高比抵抗体側に集中する傾向が認められる.地殻を構成する岩石の比抵抗値は,岩石が含む流体の量およびその連結度によって著しく低くなるため,地殻内の低比抵抗体はメルトや流体の存在を示唆する.そのため,低比抵抗体の周辺で発生している内陸地震は,地殻内の流体相の存在に起因する局所的な弱化による非弾性的な変形が,震源断層に対して応力集中に関与しているのかもしれない(e.g., Hasegawa et al., 2005).一方,福島県浜通りで発生しているような群発地震は,下部地殻の流体の上部地殻への侵入によって,断層の強度が低下することによって生じている可能性がある(Noir et al., 1997).地下水中のヘリウム同位体比は,マントル成分や地殻成分の寄与の違いを反映している.そのため,それぞれの震源域の低比抵抗体に関与している流体もマグマ水のほか,スラブ起源流体や続成脱水流体,変成脱水流体等と様々なケースがある.