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[SCG60-P04] 跡津川観測井で記録されたガス組成の時間変化について
キーワード:地下水、溶存ガス、時間変化
2010年10月から2013年2月までの間に、跡津川観測井で記録された地下水溶存ガスの組成の時間変化について議論を行う。跡津川観測井は、地球化学観測専用の地下水井として掘削された。ストレーナ深度は跡津川断層の下盤側に設置された。平均的な水頭位置は、管頭より-5mである。地下水は、1L/min程度の速度で、帯水層から直接揚水された。揚水に伴う減圧により、溶存ガスは揚水用テフロンパイプ中で発泡する。この発泡ガスを溶存ガスと見なし、地上に設置した四重極質量分析計で溶存ガスを分析した。溶存ガスの組成は1時間毎に現地で分析した。ガス組成のうち酸素の成分は大気由来であると考え、標準大気の組成をもちいて、記録された溶存ガス組成から大気の混入成分を差し引いた。この補正データをもちいて、N2-He-Arの三角プロットを行うと、溶存ガスの組成は、大気と地殻の混合線上に分布し、わずかではあるが、大気とマントルの混合線場にも分布した。この方法は、地下水溶存ガスの組成が、地殻・大気・マントルの三つの端成分の混合の時間変化を表現するのに有効であると考えられる。