日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG61] K-NET運用開始から20年:強震観測網のこれまでとこれから

2016年5月23日(月) 15:30 〜 16:30 302 (3F)

コンビーナ:*中原 恒(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻固体地球物理学講座)、久田 嘉章(工学院大学建築学部)、引間 和人(東京電力株式会社)、座長:中原 恒(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻固体地球物理学講座)、引間 和人(東京電力株式会社)

16:00 〜 16:15

[SCG61-06] K-NET強震観測情報等を活用した巨大都市・中心市街地における災害対応力向上の取組み

*久田 嘉章1村上 正浩1水野 修2鈴木 光3飯塚 航4 (1.工学院大学建築学部、2.工学院大学情報学部、3.減災アトリエ、4.工学院大学大学院)

キーワード:K-NET、中心市街地、災害応力向上、複合災害、事前対応計画・行動ルール

2011年東日本大震災では東京の震度は5であり、大きな被害が無かったにもかかわらず、ターミナル駅周辺などの中心市街地では滞留者・帰宅困難者が溢れ、幹線道路が大渋滞するなど大混乱になった。内閣府等で想定されている首都直下地震や南海トラフ巨大地震など大地震が発生した場合、巨大都市では震災による直接被害、延焼火災や大群集のパニックなどの2次災害、さらには最悪な場合、水害の同時発生などの複合災害への対応(オールハザード対応)が必要となっている。本研究は図に示すように、大規模ターミナル駅である新宿駅と北千住駅の周辺エリアをテストフィールドとして、地元大学が拠点となり自治体・事業者・住民と連携して、平常時には災害リテラシーと対応力向上に努め、震災や水害などの災害時にはK-NET等による観測や被害予測データ等を活用し、事前の災害レベル別の対応計画と行動ルールに基づく適切な対応行動を行うことを可能とするアプリケーション技術を開発している。2015年度は、新宿駅周辺エリアでは震災を、北千住駅周辺地域では水害をそれぞれ主対象としおり、特に新宿では新宿駅周辺地域都市再生緊急整備協議会および新宿駅周辺防災対策協議会等と連携して被害レベル別の事前対応計画と行動ルール、および、情報受配信アプリを試作し、K-NETによるリアルタイム強震観測を活用した情報伝達実験を実施し、提案しているシステムの有効性を確認した。2016年度はエリア内の地元事業者等と協働した災害対応力向上の実証実験を行い、2017年度以降は、震災・水害等の複合災害を対象とし、標準化した事前対応計画と行動ルールと情報受配信アプリを開発し、新宿・北千住駅周辺エリアでの実証実験による有効性を検証し、全ての成果の一般公開する予定である。

謝辞:本研究の1部は,総合科学技術・イノベーション会議のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「レジリエントな防災・減災機能の強化」(管理法人:JST)、および、文部科学省「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェク・都市災害における災害対応能力の向上方策に関する調査・研究」によって実施しています。さらに、K-Netデータの使用は国立研究開発法人・防災科学技術研究所との連携で実施しています。