10:15 〜 10:30
[SCG63-06] 下部地殻における流体の通路
キーワード:流体、下部地殻、低周波地震、断層、反射面
近畿地方中北部では、いわゆる「満点地震計」による稠密地震観測が行われている。2008年11月に「ひずみ集中帯」プロジェクトにより45点が設置され、2009年からは「地震・火山噴火予知のための観測研究計画」により順次増強され、現在88点が稼働している。本研究では、「満点地震計」および定常観測点、合計128点で得られた波形を用いて、S波の反射法解析を行い、下部地殻における流体の通路を推定した。片尾(1983)により有馬高槻断層帯の北側に、北落ちの反射面が推定されていたが、反射波の振幅をスタッキングすることにより、客観的に反射面の3次元的な分布を得ることが出来た。推定された反射面は、低周波地震の震源域から南上がりに、有馬高槻断層帯の直下まで続いている。これは、マントルから上がってきた流体が、低周波地震の震源域から地殻内に侵入し、活断層の深部へ到達していることを示唆している。
さらに、上記の反射面以外に、花折断層付近の深さ30km付近に反射強度の大きな領域が見出され、その近傍に低周波地震の震源が決まっている。Nakajima and Hasegawa(2007)によると、低周波地震の震源域の付近にある反射強度の大きな領域の上には、S波速度が小さな領域がある。さらに、その直上において、地震分布の下限が20km程度と非常に深くなっていることがわかる。この下限の水平変化は温度構造の不均質によると考えられていたが(例えば、Ito, 1990)、20kmという深部で局所的に温度を下げることは難しいことから、温度が原因ではなく、高間隙水圧により、断層の摩擦強度が局所的に下がったためである可能性が考えられる。
このように稠密観測網のデータを用いたS波の反射法解析により、地殻下部における1.5kmメッシュという高分解能の相対的な反射強度分布を推定することができた。得られた結果は、マントルから上がってきた流体が、低周波地震の震源域付近から地殻内に侵入し、活断層の下部延長付近に達していることを示唆している。また、トモグラフィーにより得られている速度不均質構造は、流体の分布を空間的になめらかにしたものを見ていると解釈できる。
さらに、上記の反射面以外に、花折断層付近の深さ30km付近に反射強度の大きな領域が見出され、その近傍に低周波地震の震源が決まっている。Nakajima and Hasegawa(2007)によると、低周波地震の震源域の付近にある反射強度の大きな領域の上には、S波速度が小さな領域がある。さらに、その直上において、地震分布の下限が20km程度と非常に深くなっていることがわかる。この下限の水平変化は温度構造の不均質によると考えられていたが(例えば、Ito, 1990)、20kmという深部で局所的に温度を下げることは難しいことから、温度が原因ではなく、高間隙水圧により、断層の摩擦強度が局所的に下がったためである可能性が考えられる。
このように稠密観測網のデータを用いたS波の反射法解析により、地殻下部における1.5kmメッシュという高分解能の相対的な反射強度分布を推定することができた。得られた結果は、マントルから上がってきた流体が、低周波地震の震源域付近から地殻内に侵入し、活断層の下部延長付近に達していることを示唆している。また、トモグラフィーにより得られている速度不均質構造は、流体の分布を空間的になめらかにしたものを見ていると解釈できる。