日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG63] 変動帯ダイナミクス

2016年5月24日(火) 09:00 〜 10:30 A08 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*深畑 幸俊(京都大学防災研究所)、重松 紀生(独立行政法人産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、加藤 愛太郎(名古屋大学大学院環境学研究科)、岩森 光(海洋研究開発機構・地球内部物質循環研究分野)、池田 安隆(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、竹下 徹(北海道大学大学院理学院自然史科学専攻)、座長:深畑 幸俊(京都大学防災研究所)、芝崎 文一郎(建築研究所国際地震工学センター)

10:15 〜 10:30

[SCG63-30] 東北日本背弧における島弧直交方向の山地の成因:南北圧縮の重要性

*深畑 幸俊1 (1.京都大学防災研究所)

キーワード:東北日本弧、沈み込み帯、梯子状構造

東北地方では基本的に島弧の走向方向である南北方向に地形の連続性が良い。山地で言えば太平洋側から順に、北上・阿武隈山地、奥羽脊梁山脈、出羽山地が配列する。その一方、火山フロントをなす脊梁山脈よりも背弧側では、島弧の横断方向(東西方向)にも明瞭な地形的高まりが認められる。北から順に、白神山地、森吉山・太平山地、神室山地・丁岳山地(鳥海山)、月山・朝日山地、飯豊山地といった具合である。この東西方向の地形的高まりは、火山分布やトモグラフィーによる地震波低速度域と良い対応を示し、その説明として、島弧下のマントルウェッジで背弧側から脊梁山脈下に向かって指状に熱いマントル物質が上昇してくるモデル(hot finger model; Tamura et al., 2002)が提唱され広く受け入れられている。
しかし、世界中の沈み込み帯を広く見渡してみると、東北日本のように島弧の走向と直交する方向に山地列が分布することはほとんど全くない。敢えて言えば、やや斜行しているが、伊豆弧の北端部で類似した構造が認められるくらいである。このことは、マントルウェッジでの上昇流という他の島弧でも起こるであろう一般的な理由のみによる説明では、本質的に不十分であることを示唆する。
世界中の島弧において、地形的な高まりと火山分布の関係を調べてみると、圧縮場においては常に火山フロントが地形的高まりと一致することが分かる。その一方、伸張場ではこの関係は成り立たない。従って、東北日本では、まず東西圧縮応力が重要であるが(それにより、南北走向の山地が形成されている)、第二義的には南北圧縮応力が重要ではないかと考えられる。地震のメカニズム解も東西方向に圧縮軸を持つ逆断層タイプが多く、この考えと矛盾しない。