日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM34] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

2016年5月24日(火) 13:45 〜 15:15 コンベンションホールA (2F)

コンビーナ:*松島 政貴(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)、菅沼 悠介(国立極地研究所)、座長:松島 政貴(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)、山本 裕二(高知大学 海洋コア総合研究センター)

13:45 〜 14:00

[SEM34-07] ピルバラクラトンの34.6億年前のデイサイトにおける古地磁気フィールドテストの再検討

*臼井 洋一1西澤 学1斎藤 誠史1谷 健一郎2渋谷 岳造1奥村 知世1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構、2.国立科学博物館)

キーワード:太古代、古地磁気

西オーストラリア、ピルバラクラトンの34.6億年前のデイサイトおよびバサルトから、古地磁気褶曲テストの合格例が報告されている(McElhinny and Sananayake, 1980)。これは、南アフリカから近年報告された礫岩テスト(Usui et al., 2009; Biggin et al., 2011)と並び、世界最古の古地磁気フィールドテストとされてきた。しかし、ピルバラクラトンの古地磁気テストは単純な地質構造を仮定して行われているため、信頼度について意見が分かれている。本発表では、先行研究と同じ層準のデイサイト溶岩、およびその見かけ直上のデイサイト質火山角礫岩を対象に新たに古地磁気測定を行った結果を報告する。溶岩は高度な高温酸化を被っており赤色を呈する。火山角礫岩も同様の岩相である。先行研究と同様に、段階消磁により典型的には三つの磁化成分が分離される。しかし、褶曲テストにパスするとされた磁鉄鉱の成分および地域的な二次磁化とされた赤鉄鉱の成分は、火山角礫岩においては溶岩と異なった方位を示す。さらに、磁鉄鉱の成分と赤鉄鉱の成分は共に同一露頭内の礫間で方位が一致しない。従って、初生磁化でありかつ火山角礫岩は低温堆積しており、実際上の礫岩テストを見ているか、または様々な程度の再磁化を被っており初生磁化とは言えない、という可能性が考えられる。これらを区別するためにはより詳細な岩石磁気的検討が必要である。