日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM34] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

2016年5月24日(火) 13:45 〜 15:15 コンベンションホールA (2F)

コンビーナ:*松島 政貴(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)、菅沼 悠介(国立極地研究所)、座長:松島 政貴(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)、山本 裕二(高知大学 海洋コア総合研究センター)

14:00 〜 14:15

[SEM34-08] GPS から推定される過去の大陸形状の復元 その2

*勝間田 優1原田 靖1 (1.東海大学海洋学部)

キーワード:GPS、過去の大陸形状、古地磁気学データ

河合ら(2014連合大会)はGPSのデータによる大陸の内部変形運動を過去に外挿して約50Ma相当の南米大陸の形状を計算し, Kono et al.,1985 が古地磁気学的解析から推定した第三紀前期のアンデス山脈の形状と調和的であることを示した. 本研究では河合ら(2014連合大会)と同様な方法で全地球表面の変形量を計算し,上の Kono et al.,1985 に加えて Randall et al.,1996 の南米大陸の古地磁気のデータセットを用いてGPSデータから推定される南米大陸の変形による回転量が古地磁気データと比較し得るかどうかを定量的に検証した.用いた古地磁気データは十数点でそれぞれの地点で推定されるGPSからの回転運動量を計算したところ古地磁気データの年代の不確定性起源の誤差やGPS観測点の少なさから来る誤差が大きいものの大局的には正の相関が見られた.
この結果から数十年スケールのGPSで観測されるプレート内部変形は数千万年スケールの大陸の変形運動と比較し得ることを示唆している. しかしながら負の相関を示しているデータも散見され, 必ずしもすべてのデータにおいてGPSのデータと古地磁気データが調和しているわけでは無いことも分かる.本研究で用いた方法は汎用性が高いのでGPSデータと古地磁気データがある地域ならばどこでも外挿計算による比較が可能である. 今後も他の地域での古地磁気データとGPSから推定される変形量の定量的な比較して行くことによってデータを蓄積し,どのような場所で両者の相関が高いのか, どの程度の過去までGPSデータの外挿が可能なのかを調べていく作業が重要であろう.