日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM34] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*松島 政貴(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)、菅沼 悠介(国立極地研究所)

17:15 〜 18:30

[SEM34-P08] エチオピア洪水玄武岩から得られた30Ma頃の絶対古地磁気強度

*吉村 由多加1石川 尚人1山本 裕二2安 鉉善3Tesfaye Kidane4乙藤 洋一郎5 (1.京都大学、2.高知大学 海洋コア総合研究センター、3.慶尚大学校、4.アディスアベバ大学、5.神戸大学)

キーワード:エチオピアントラップ、地磁気極性変化、絶対古地磁気強度

エチオピアとイエメンに分布するエチオピアントラップはホットプルーム上昇に伴い30Ma頃に噴出した洪水玄武岩で、エチオピアでは約2000mの連続した溶岩層をなす。Rochette et al.(1998)はエチオピア・Lima-Limo地域とWegel Tena地域において42層準で試料を採取し、古地磁気測定と40Ar/39Ar年代測定を行い、下位よりを逆-正-逆の極性変化と28〜30Maの年代値を得た。それに基づき、不確かさをあるものの極性変化はHuestis and Acton (1997)の地磁気極性逆転表(GPTS)のC11r-C11n.2n-C11n.1rに対応させ、エチオピアントラップが約100万年間かそれ以下の期間での活動であるとした。そこで我々は、Lima-Limo地域を対象に地磁気変動の詳細な解明と地磁気極性逆転史との対応を明らかにする目的で、94層準から試料を採取し研究を行っている。これまでの古地磁気測定による結果では、Rochette et al.(1998)の極性変化以外にエクスカーション的な変動や短期間の逆転と思われる変動が明らかとなった(Ann, 2015)。さらに、地磁気強度の変動を明らかにするために、低温消磁2回加熱ショー法(Yamamoto et al.,2003)による絶対古地磁気強度の推定を行い、現時点で10層準の11試料から、6.25~29.05 µTの強度データ(仮想地磁気双極子モーメントVADMで1.21〜7.28×1022Am22)を得た。VGP緯度が45度より大きい試料の平均強度は17.63µT(VADM:3.40×1022Am2)で、VGP緯度が45度より小さい試料(1試料)の強度は6.25µTであった。現在のLima-Limoでの地球磁場強度はおよそ35µTで、高VGM緯度の試料の強度はその半分程度である。Plenier et al.(2003)による0~0.3Maの平均VADMは約8×1022Am2で、0.3Ma~300Maのそれは約5×1022Am2であり、高VGP緯度の試料の強度が現在の地磁気強度より小さいことは、約30Maの地磁気強度が現在より小さかったことを示唆する。低VGP緯度の試料の地磁気強度がさらに小さいことは、地磁気極性の変化時において地磁気強度が数分の一程度まで減少した可能性を示唆する。