12:00 〜 12:15
[SEM35-12] 独立成分分析によるMT磁場データの改善
キーワード:MT法、独立成分分析
房総半島は過去20年間に少なくとも5回のスロースリップイベントが発生している.我々は,この地域の比抵抗構造を求めることを目的としてMT観測を行った.観測されたMTデータには大量の人工ノイズが含まれており,算出した見掛け比抵抗と位相からニアフィールドの影響を受けていることが確認された.一般的に,ローカルノイズの除去にはリモートリファレンス法(Gamble et al., 1979)が適用されるが,大きな効果は得られなかった.そこで本研究では,より強力なノイズ除去を行うため,房総半島で得られたデータに対し独立成分分析(ICA)を適用した.
ICAは多変量解析法の1つで,混合された信号を分離するために用いられる手法である.一般的に,観測信号x(t)と原信号s(t)の関係は未知の作用素Aを用いてx(t)=As(t)で表されると仮定する.本研究では,Aの逆行列Wを求めるためにAapo Hyvarinen(2000)によって発展されたFastICAアルゴリズムを適用した.
ICAには房総半島の磁場データに加えて,江刺(岩手県)や女満別(北海道)で観測された磁場データを入力成分とした.ICAは適用後,縦軸が一意に決定されない為,各成分のパワーの評価がしにくいという問題点がある.そこで,本研究では,シグナル成分を残し,それ以外の成分を0とした行列を作成し,x(t)=W-1u’(t)という関係式を用いて原信号空間に戻す作業を行った.最後に,改良した磁場の水平成分を用いて見掛け比抵抗と位相を算出した.
ICA適用前後の磁場の時間変化を比較すると,ノイズが取り除かれ,シグナル成分を取り出すことができたことが分かる.算出された見掛け比抵抗と位相は低周波数側でニアフィールド現象の影響の改善がみられる.これらの結果から,ICAはMT磁場データの人工ノイズ除去に有用であるといえる.しかしながら,より深部の比抵抗構造を評価するためには,磁場データだけでなく,電場データの改善が必要である.
ICAは多変量解析法の1つで,混合された信号を分離するために用いられる手法である.一般的に,観測信号x(t)と原信号s(t)の関係は未知の作用素Aを用いてx(t)=As(t)で表されると仮定する.本研究では,Aの逆行列Wを求めるためにAapo Hyvarinen(2000)によって発展されたFastICAアルゴリズムを適用した.
ICAには房総半島の磁場データに加えて,江刺(岩手県)や女満別(北海道)で観測された磁場データを入力成分とした.ICAは適用後,縦軸が一意に決定されない為,各成分のパワーの評価がしにくいという問題点がある.そこで,本研究では,シグナル成分を残し,それ以外の成分を0とした行列を作成し,x(t)=W-1u’(t)という関係式を用いて原信号空間に戻す作業を行った.最後に,改良した磁場の水平成分を用いて見掛け比抵抗と位相を算出した.
ICA適用前後の磁場の時間変化を比較すると,ノイズが取り除かれ,シグナル成分を取り出すことができたことが分かる.算出された見掛け比抵抗と位相は低周波数側でニアフィールド現象の影響の改善がみられる.これらの結果から,ICAはMT磁場データの人工ノイズ除去に有用であるといえる.しかしながら,より深部の比抵抗構造を評価するためには,磁場データだけでなく,電場データの改善が必要である.