日本地球惑星科学連合2016年大会

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ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM35] 電気伝導度・地殻活動電磁気学

2016年5月25日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*市來 雅啓(東北大学大学院理学研究科)、宇津木 充(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設火山研究センター)

17:15 〜 18:30

[SEM35-P06] 霧島硫黄山の1次元比抵抗構造

*塚本 果織1相澤 広記2宇津木 充3小山 崇夫4 (1.九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻、2.九州大学地震火山観測研究センター、3.京都大学火山研究センター、4.東京大学地震研究所)

九州地方の霧島連山に位置する活火山の硫黄山は、16~17世紀に形成されたとされる(田島他、2014)霧島連山の中で最も新しい火山である。硫黄山から韓国岳周辺では2013年12月より深さ1~5kmで地震が増加し、2015年7月からは火山性地震がたびたび発生するようになった(気象庁火山活動解説資料)。さらに2015年12月14日には硫黄山で12年ぶりに温度80℃の噴気が火口南西部に出現した。その後の水準測量では2015年6月~12月の期間で隆起が確認され、膨張圧力源が硫黄山火口東、深さ700mに推定された(松島他、2015)。硫黄山周辺の地震の震源の上面は地下1km付近に揃っているように見え、過去の比抵抗構造調査によると深さ1km以浅に粘土層の存在が推測されている(Aizawa et al., 2013, EPS)。これらのことから硫黄山周辺地下への高温流体の供給量が増加し、粘土層に遮られ間隙水圧が上昇し、地震が増加していると推測される。この仮説の検証のため、我々は硫黄山周辺で広帯域(200~0.0005Hz)MT観測を行った。噴気発生直後の2015年12月21日~2016年1月12日の期間に、火口周辺5箇所で電場2成分、1箇所で電磁場5成分のデータを取得した。本発表では得られたデータから硫黄山地下の平均的な1次元比抵抗構造を示し、地震との関連を議論する予定である。
参考文献
Aizawa, K.et al.,2013, Three-dimensional resistivity structure and magma plumbing system of the Kirishima Volcanoes as inferred from broadband magnetotelluric data:J.Geophys.Res.119 198-215
気象庁 火山活動解説資料(平成28年1月 霧島)
松島・他,2015,精密水準測量で検出された霧島・硫黄山の地盤上下運動:火山噴火予知連絡会資料
田島・他,2014,霧島火山、えびの高原周辺における最近15,000年間の活動史:火山 59 55-75