17:15 〜 18:30
[SEM35-P09] 高解像度比抵抗イメージングにむけた円筒形岩石試料に対する4極法測定の試み
キーワード:岩石実験、電気比抵抗、電気探査
近年、地震発生域における地下構造の解明や火山活動域における地下熱水系およびマグマだまりのイメージングを目的として、電気・電磁探査による電気比抵抗構造探査が広く実施されている(例えば、Yoshimura et al., 2009; Nurhasan et al., 2006; Aizawa et al., 2004など)。求められた比抵抗構造から、熱水系の様相や地震発生メカニズムに関連する流体の分布を知るためには、含水率を比抵抗値と結び付ける必要がある。現状、比抵抗イメージから含水率を求める際にはArchie の式(Archie, 1942) などの経験式を用いているが、既往の経験式は特定の岩石や測定条件に基づいて得られたものであり、実際の地中においてもすべて成り立つとは限らない。高確度の流体量推定を行うためには、こういった経験式をどの物理条件にまで適用して良いのか明らかにしておく必要がある。そのためには室内実験によって得られる知見が欠かせない。
そこで本研究では、圧縮試験後の岩石試料内に局在化する微小クラック群を比抵抗構造の不均質として検出することを目的に、岩石試料の高解像度比抵抗イメージングの実現を目指している。本研究での測定対象物は、せん断破壊実験で用いられるサイズの岩石試料である。せん断破壊実験は地震を模擬した室内実験の一つであり、これによって岩石試料内に生じる微小クラック群は、地震によって形成される断層に準えることができる。岩石試料に内在する微小クラック群の非破壊計測はすでに実施されており、X線CTスキャンによる詳細な3次元イメージングなどが報告されている(例えば、Kawakata et al.,1999など)。こういった試料に対する高解像度比抵抗イメージングが実現できれば、フィールドにおいては困難な、破壊域の直接的観察結果と比抵抗イメージの多面的な対比が可能になる。この対比は経験式が現実をどこまで表現できているのかを評価できる新たな試みであり、得られた知見は確度の高い流体量推定に向けて重要な情報となる。
これまでに、岩石試料に対する実験の準備として、導電性プラスチックと導電性エポキシ樹脂を用いたアナログ模擬実験を通して実験の実現可能性を評価してきた。また、電極の大きさを2.5mmに設定した多くの電極を高密度に配置する測定により、面的な電位分布を得ることができた他、面上配列するクラック群を模した層状のエポキシ樹脂も電位差の変化として検出することができた。その一方で、花崗岩試料に対して同様の実験を試みたところ、模擬実験と同等の電極サイズでは接触抵抗が大きくなりすぎてしまい、その結果、実験系からの漏えい電流が発生してしまったので、測定を行うことが出来ずにいた。
今回はこの問題を解決するために、フローティング測定によって電流の漏れだしを低減
した実験系を構築し、岩石試料に対する4端子測定を試みた。その結果、10mm四方の正方形電極を用いた実験においては一定量の電流を安定して試料に流すことができ、電圧も精度よく測定することができた。
発表では、現在すすめている高密度な電極配置での岩石実験について紹介し、実験の精度について議論するとともに、将来的な高解像度比抵抗イメージングへの展望について述べる。
そこで本研究では、圧縮試験後の岩石試料内に局在化する微小クラック群を比抵抗構造の不均質として検出することを目的に、岩石試料の高解像度比抵抗イメージングの実現を目指している。本研究での測定対象物は、せん断破壊実験で用いられるサイズの岩石試料である。せん断破壊実験は地震を模擬した室内実験の一つであり、これによって岩石試料内に生じる微小クラック群は、地震によって形成される断層に準えることができる。岩石試料に内在する微小クラック群の非破壊計測はすでに実施されており、X線CTスキャンによる詳細な3次元イメージングなどが報告されている(例えば、Kawakata et al.,1999など)。こういった試料に対する高解像度比抵抗イメージングが実現できれば、フィールドにおいては困難な、破壊域の直接的観察結果と比抵抗イメージの多面的な対比が可能になる。この対比は経験式が現実をどこまで表現できているのかを評価できる新たな試みであり、得られた知見は確度の高い流体量推定に向けて重要な情報となる。
これまでに、岩石試料に対する実験の準備として、導電性プラスチックと導電性エポキシ樹脂を用いたアナログ模擬実験を通して実験の実現可能性を評価してきた。また、電極の大きさを2.5mmに設定した多くの電極を高密度に配置する測定により、面的な電位分布を得ることができた他、面上配列するクラック群を模した層状のエポキシ樹脂も電位差の変化として検出することができた。その一方で、花崗岩試料に対して同様の実験を試みたところ、模擬実験と同等の電極サイズでは接触抵抗が大きくなりすぎてしまい、その結果、実験系からの漏えい電流が発生してしまったので、測定を行うことが出来ずにいた。
今回はこの問題を解決するために、フローティング測定によって電流の漏れだしを低減
した実験系を構築し、岩石試料に対する4端子測定を試みた。その結果、10mm四方の正方形電極を用いた実験においては一定量の電流を安定して試料に流すことができ、電圧も精度よく測定することができた。
発表では、現在すすめている高密度な電極配置での岩石実験について紹介し、実験の精度について議論するとともに、将来的な高解像度比抵抗イメージングへの展望について述べる。