17:15 〜 18:30
[SGD22-P02] 庄内平野東縁断層下の密度構造
キーワード:重力異常、密度構造、活断層
庄内平野東縁断層帯(EBFZSP)は山形県北西部に位置する庄内平野と出羽丘陵との境界部に沿って分布し,全長約38 kmにわたってほぼ南北走向に連続する活断層帯であり,断層帯の東側が西側に対して相対的に隆起している.EBFZSPはその断層分布形態や活動性等の違いから北部と南部に区分されており,そのうち南部を構成する松山断層では加藤・ほか(2006a, b)の反射法地震探査によって地下浅部構造が明らかにされている.本研究では,EBFZSP周辺の地下構造と構造発達史を明らかにすることを目的とした重力探査およびその解析を実施したので報告する.
2014年8月4-12日・2015年3月5-6日の期間で,EBFZSP周辺の重力探査を実施した.使用した重力計はScintrex社製CG-3M相対重力計である.重力測定はEBFZSP南部の松山断層を横断する反射法地震探査測線(加藤・ほか,2006a, b)を含む2測線およびEBFZSP周辺にて行い,測定点数は延べ177点となった.それに加えて入手可能な限りの既存測定データも参照した.
重力データには通常の処理・補正手順に加え,10m-DEMを用いた地形補正,スラブ補正を施しブーゲー異常図を作成した(仮定密度2,400 kg/m3).また地質構造の不連続性を抽出するため,ブーゲー異常の水平・鉛直1次微分によるフィルタリング処理を行った.加えて,重力探査測線に2次元タルワニ法を適用することで2次元密度構造解析を実施したほか,Tilt-Depth法による解析も試みた.
本地域のブーゲー異常変化は大局的には地質構造と良く対応し,庄内平野では全体的に低異常,周囲の山地では相対的に50-60 mGal程高い高異常を示す.本断層帯の東部に発達する出羽丘陵中には4-5 mGal/km以上の高水平勾配帯およびゼロ等値線が存在しており,2次元密度構造解析結果から,これらは出羽丘陵中に発達する青沢断層群を捉えたものであることが確認された.高水平勾配帯およびゼロ等値線と,本断層帯の断層分布形態およびその位置を比較してみると,本断層帯南部では東側近傍に(最大約3.5 km離れて)位置しているが,一方,断層分布が複数条に分岐する本断層帯北部では東側遠方(最大約9 km)に位置しているという関係性がうかがえる.
本断層帯は青沢断層群から平野側に派生した低角東傾斜の衝上断層構造を有し断層前進現象が生じていることから(今泉・東郷,2007),本断層帯北部においては,青沢断層群から地下で複雑に分岐派生している断層群が雁行状の活断層として地表に分布し,平野側まで断層前進現象がより進行していると考えられている.一方,本断層帯南部では,青沢断層群から直接的に派生した断層がそのまま活断層として平野側へ衝上しているため,断層地表トレースおよびその地下構造は北部に比べ単純である(加藤・ほか,2006a, b).従って,本断層帯北部と南部における断層前進現象における差が,これら高水平勾配帯およびゼロ等値線と,断層分布形態とその位置関係の違いを表していると考えられる.
加藤直子・ほか, 2006a, 庄内平野東縁活断層系松山断層における反射法地震探査, 活断層研究, 26, 87-93.
加藤直子・ほか, 2006b, 石油探査データの再解析による庄内平野東縁断層帯の地下形状, 地震研究所彙報, 81, 149-156.
今泉俊文・東郷正美, 2007, 1:25,000 都市圏活断層図 庄内平野東縁断層帯とその周辺「庄内北部」「庄内南部」解説書, 国土地理院技術資料D1-No.496.
2014年8月4-12日・2015年3月5-6日の期間で,EBFZSP周辺の重力探査を実施した.使用した重力計はScintrex社製CG-3M相対重力計である.重力測定はEBFZSP南部の松山断層を横断する反射法地震探査測線(加藤・ほか,2006a, b)を含む2測線およびEBFZSP周辺にて行い,測定点数は延べ177点となった.それに加えて入手可能な限りの既存測定データも参照した.
重力データには通常の処理・補正手順に加え,10m-DEMを用いた地形補正,スラブ補正を施しブーゲー異常図を作成した(仮定密度2,400 kg/m3).また地質構造の不連続性を抽出するため,ブーゲー異常の水平・鉛直1次微分によるフィルタリング処理を行った.加えて,重力探査測線に2次元タルワニ法を適用することで2次元密度構造解析を実施したほか,Tilt-Depth法による解析も試みた.
本地域のブーゲー異常変化は大局的には地質構造と良く対応し,庄内平野では全体的に低異常,周囲の山地では相対的に50-60 mGal程高い高異常を示す.本断層帯の東部に発達する出羽丘陵中には4-5 mGal/km以上の高水平勾配帯およびゼロ等値線が存在しており,2次元密度構造解析結果から,これらは出羽丘陵中に発達する青沢断層群を捉えたものであることが確認された.高水平勾配帯およびゼロ等値線と,本断層帯の断層分布形態およびその位置を比較してみると,本断層帯南部では東側近傍に(最大約3.5 km離れて)位置しているが,一方,断層分布が複数条に分岐する本断層帯北部では東側遠方(最大約9 km)に位置しているという関係性がうかがえる.
本断層帯は青沢断層群から平野側に派生した低角東傾斜の衝上断層構造を有し断層前進現象が生じていることから(今泉・東郷,2007),本断層帯北部においては,青沢断層群から地下で複雑に分岐派生している断層群が雁行状の活断層として地表に分布し,平野側まで断層前進現象がより進行していると考えられている.一方,本断層帯南部では,青沢断層群から直接的に派生した断層がそのまま活断層として平野側へ衝上しているため,断層地表トレースおよびその地下構造は北部に比べ単純である(加藤・ほか,2006a, b).従って,本断層帯北部と南部における断層前進現象における差が,これら高水平勾配帯およびゼロ等値線と,断層分布形態とその位置関係の違いを表していると考えられる.
加藤直子・ほか, 2006a, 庄内平野東縁活断層系松山断層における反射法地震探査, 活断層研究, 26, 87-93.
加藤直子・ほか, 2006b, 石油探査データの再解析による庄内平野東縁断層帯の地下形状, 地震研究所彙報, 81, 149-156.
今泉俊文・東郷正美, 2007, 1:25,000 都市圏活断層図 庄内平野東縁断層帯とその周辺「庄内北部」「庄内南部」解説書, 国土地理院技術資料D1-No.496.