17:15 〜 18:30
[SGD22-P05] 大分県くじゅう地域における重力および重力偏差計データから推定される密度構造
キーワード:重力探査、空中重力偏差法探査、密度構造、九重火山
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は「地熱資源ポテンシャル調査のための空中物理探査」を平成24年度より開始し,大分県くじゅう地域,鹿児島県霧島地域において空中重力偏差法探査,時間領域空中電磁探査および空中磁気探査を実施してきた(JOGMEC, 2014)。本研究では,大分県くじゅう地域を対象として行われた空中重力偏差法探査データと地上重力測定データを用いて地下の3次元密度構造を推定し,得られた密度構造と過去に行われた地熱・火山調査結果との比較を行った。
地表重力探査データは、九州大学測定28点と日本重力データベース(AIST, 2013)および西南日本重力データベース(Shichi and Yamamoto, 2001)から850点の測定データを使用して重力異常図を作成した。ブーゲー補正や地形補正で用いる補正密度については、CVUR法(Komazawa, 1995)を用いて推定を行い2310kg/m3とした。
空中重力偏差法探査では、CGG Aviation社HeliFALCONTM重力偏差計をヘリコプターに搭載し,測線間隔250m,対地高度120mで地形に沿って飛行して調査を行った。HeliFALCONTM重力偏差計で計測されたデータは,飛行中の機体の加速度変化,タイライン補正,マイクロレベリング補正,地形補正などの各種補正が行われ重力偏差の水平曲率成分(GNE, GUV)が得られる。地形補正で用いる地形データは測線沿いについてはヘリコプターに搭載されたレーザースキャナーとGPSデータから20mメッシュの地形データを作成し,測線間や調査範囲から15kmまでの領域についてはShuttle Rader Topography Mission(SRTM)v2の標高データを用いた。重力偏差データは,地形補正無し,補正密度2300kg/m3,補正密度2670kg/m3の3種類が提供されているが,本研究では地上測定重力データから推定された補正密度に一番近い2300kg/m3のデータを用いた。
密度構造モデリングに対応した解析プログラムは,カナダGEOSOFT社VOXI Earth modelingを使用した。本手法は,同社ポテンシャルデータの総合解析ソフトであるOasis Montaj上で入力データを作成し,Geosoft社のクラウドコンピュータで計算を行う計算サービスである。このため,ユーザー側のコンピュータスペックに依存せず,大規模な3次元モデルを高速に計算することが可能である。本解析では,地下をvoxel(直方体セル)に分割し,観測された重力偏差を説明する最適な密度の組合せを探索する。入力データは重力偏差データ6成分(Gxx, Gyy, Gzz, Gxy, Gxz, Gyz)を使用した。
空中重力偏差法データから得られた密度分布では、猪牟田カルデラ内や涌蓋山北西山麓にはカルデラ構造を充填していると考えられる岩砕なだれ堆積物の低密度域(2100〜2200 kg/m3)が見られた。一方、高密度域(2400〜2550 kg/m3)は更新世中期の涌蓋火山や更新世後期の猟師山、合頭山の南東部および九重火山などの直下に見られた。これらの傾向は、地表重力探査から推定される密度構造と概ね良い対応が見られたが、浅部においては密度構造が異なっている部分が多く見られた。これは主に重力と重力偏差の違いや空間分解の違いに起因するものと考えられる。
地表重力探査データは、九州大学測定28点と日本重力データベース(AIST, 2013)および西南日本重力データベース(Shichi and Yamamoto, 2001)から850点の測定データを使用して重力異常図を作成した。ブーゲー補正や地形補正で用いる補正密度については、CVUR法(Komazawa, 1995)を用いて推定を行い2310kg/m3とした。
空中重力偏差法探査では、CGG Aviation社HeliFALCONTM重力偏差計をヘリコプターに搭載し,測線間隔250m,対地高度120mで地形に沿って飛行して調査を行った。HeliFALCONTM重力偏差計で計測されたデータは,飛行中の機体の加速度変化,タイライン補正,マイクロレベリング補正,地形補正などの各種補正が行われ重力偏差の水平曲率成分(GNE, GUV)が得られる。地形補正で用いる地形データは測線沿いについてはヘリコプターに搭載されたレーザースキャナーとGPSデータから20mメッシュの地形データを作成し,測線間や調査範囲から15kmまでの領域についてはShuttle Rader Topography Mission(SRTM)v2の標高データを用いた。重力偏差データは,地形補正無し,補正密度2300kg/m3,補正密度2670kg/m3の3種類が提供されているが,本研究では地上測定重力データから推定された補正密度に一番近い2300kg/m3のデータを用いた。
密度構造モデリングに対応した解析プログラムは,カナダGEOSOFT社VOXI Earth modelingを使用した。本手法は,同社ポテンシャルデータの総合解析ソフトであるOasis Montaj上で入力データを作成し,Geosoft社のクラウドコンピュータで計算を行う計算サービスである。このため,ユーザー側のコンピュータスペックに依存せず,大規模な3次元モデルを高速に計算することが可能である。本解析では,地下をvoxel(直方体セル)に分割し,観測された重力偏差を説明する最適な密度の組合せを探索する。入力データは重力偏差データ6成分(Gxx, Gyy, Gzz, Gxy, Gxz, Gyz)を使用した。
空中重力偏差法データから得られた密度分布では、猪牟田カルデラ内や涌蓋山北西山麓にはカルデラ構造を充填していると考えられる岩砕なだれ堆積物の低密度域(2100〜2200 kg/m3)が見られた。一方、高密度域(2400〜2550 kg/m3)は更新世中期の涌蓋火山や更新世後期の猟師山、合頭山の南東部および九重火山などの直下に見られた。これらの傾向は、地表重力探査から推定される密度構造と概ね良い対応が見られたが、浅部においては密度構造が異なっている部分が多く見られた。これは主に重力と重力偏差の違いや空間分解の違いに起因するものと考えられる。