日本地球惑星科学連合2016年大会

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ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD23] 測地学一般・GGOS

2016年5月23日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*松尾 功二(国土地理院)、風間 卓仁(京都大学理学研究科)、川畑 亮二(国土交通省国土地理院)

17:15 〜 18:30

[SGD23-P01] 閏秒回避の提案

*高橋 耕三1 (1.なし)

キーワード: 閏秒、閏秒回避

はじめに:2015/07/00 に協定世界時(UTC)に閏秒が1秒挿入されました。閏秒がある理由として、地球の自転角速度の減少が挙げられることがあります。閏秒の挿入が面倒なことが一般的なため、閏秒の廃止が話題になったこともあります。
地球の自転角速度が減少することは事実ですが、その程度は甚少です。そこで、閏秒の挿入と同じ効果があり、大衆には操作の必要無い閏秒挿入回避の方法を提案します。
自転角速度の減少:地球が誕生した45.5億年前の自転角速度の最高値ωoは、遠心力と重力が釣り合う時の値ですから、次式から求まります。
(以下 **: 冪乗)
r×ωo**2 =g
ここに
地球の半径 r=6378100 m
重力の加速度の標準値 g= 9.80665 m/s**2
を代入すると
ωo=1.2400×10**-3 rad/sec=107 rad/day :(遠心力と重力が釣り合う値)となります。
現在の値
ωp=7.292×10**-5 rad/sec
までに、指数関数的に減少したとすると、
log (ωp/ωo)=-kt (1)
上式に
ωo/ωp=1.240×10**-3/7.292×10**-5
=16.98
log(ωo/ωp )=2.833
と地球の年齢 t=45.5億年=1.436×10**17 sec
を代入すると
k=1.973×10**-17/sec =6.226×10**-10/year
=0.0623/億年
上記の減衰係数kは、初期値を可能な最大値とした場合の値ですから、実際はこの値以下と言うことになります。
半減期th は (1) から、次式で与えられます。
log(ωp/ωo )=-kth
ωp /ωo=0.5 log 0.5=0.6931=0.0623th
から
th =(0.6931/0.0623)億年=11.125億年
ところで、
​ 45.5億年/11.125億年=4.0899、 05**4.0899=0.05872=1/17.03
となって、上記の ωo/ωpの値と計算誤差の範囲内で一致しています。
なお、実際の半減期は、上述の理由から、11.1億年以下と言うことになります。
ところで、過去15年間に5回閏秒が挿入されていることから、3年に1秒の割合で地球の自転周期が長くなっていると言われています。この割合で自転周期が長くなっていく場合の半減期は下記のようにして求まります。
現在の自転周期をT0、t年(3年)後のそれをTとすると、
T-T0=1sec
T-T0=2π(1/ωー1/ωo)=2π(ωoーω)/(ω×ωo)=1
上式に
ω=ωo×e**(-kt)
を代入すると
2π/ω{1-e**(-kt)}=1sec
i.e. ω/2π=1-e**(-kt)≒kt
上式に ω=ωp=7.292×10**-5 rad/sec=2301 rad/yearとt=3年を代入すると
kp=3.869×10**-6/年
上述の半減期の式に上記の値を代入すると、現在の地球の自転角速度の半減期Tpは、次式から
log 0.5=0.6931=3.869×10**-6×Tp
Tp=0.6931/3.869×10**-6=1.791×10**5年≒18万年
半減期は約18万年となり、地球の年齢と相容れない値となります。
このようになってしまたのは、1秒の定義が不適切であったためです。現在の定義は、Cs の放射波 f=9.192631770 GHz波の1周期Toの9192631770倍とされています。それ故、1秒の定義をT0現在の値よりも、3年に1秒長くのなるようにすれば閏秒の必要は当面は無くなるわけです。
具体的には、3年は10の約8乗秒(=0.9467×10**8 sec)ですから、 Cs の放射波を 1+1秒/3年 = 1+ 1.0563 ×10**-8 倍して9.192631673 GHzと定義すれば良いわけです。即ち、 T=1/f ですから、10桁あったCs の放射波の有効桁数の最後の3桁を変更すれば、
9192631770/9192631673=1+1.056×10**-8
となりますから、1秒が1.056×10**-8だけ長くなり、3年で約一秒長くなることになります。
即ち、10桁あるCs の放射波の有効桁数の最後の3桁を変更すれば、閏秒の挿入は、現在は3年に一度ですが、前述したように、半減期は11.125億年以上ですから、向こう百年以上、閏秒の問題は考え無くてもよくなるはずです。
時間の定義の変更に伴う基本単位への影響:現在、光速は299792458 m/sec、長さの基本単位1mは、真空中の光の1/299792458s間の伝搬距離となっています。 光速cは、基本中の基本であるため、その絶対値も定義も変えないことが望ましいわけですから、秒の定義の変更に伴う長さの定義を変える必要があります。光速と時間で定義されている長さを、時間の増加、1.056×10**-8 sec、に伴い、3.17×10**-8 mだけ1mを短くするならば、光速の絶対値・定義とも不変となります。
ただし、可能性は殆どありませんが、長さの定義と絶対値を現在のままにするのならば、光速を、1秒が長くなった分に対応する3.2 m/sec増やし、現在の定義値299792458 m/secから299792461 m/sec に変更する必要があります。定義の時間の逆数は、1秒が長くなった分だけ短くなりますが、光速がその分だけ速くなっていますから、絶対値は不変となります。おわりに:閏秒の挿入に際しては、世界で何万人もが対応する必要がありますが、時間の定義の変更は、全世界で数人で対応することができます。しかも、その効果には殆ど差がありません。