日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT07] Structure and dynamics of Earth and Planetary deep interiors

2016年5月22日(日) 09:00 〜 10:30 201B (2F)

コンビーナ:*芳野 極(岡山大学地球物質科学研究センター)、趙 大鵬(東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター)、中川 貴司(海洋研究開発機構数理科学・先端技術研究分野)、座長:趙 大鵬(東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター)、Wang Yanbin(Center for Advanced Radiation Sources, University of Chicago)

09:00 〜 09:15

[SIT07-01] The Earth’s internal structure explained from a viewpoint of the condensed matter physics

*唐澤 信司1 (1.宮城工業高等専門学校 名誉教授)

キーワード:Mantle convection, Outer core, Inner core, Adiabatic compression, Degenerated state of electron, Jahn-Teller-Effect

​ 地球の深さの増加に応じて物質に及ぼす圧力が増加します。外部から圧力を受けると物質のサイズは縮小し、凝集力のポテンシャルエネルギーは大きくなります。物質は低いエネルギーの状態になる時に低下する分のエネルギーを放出します。ところで、隕石が地表に衝突する際には衝突により圧縮された物質は収縮して発熱しますが、その熱は直後の膨張で吸収されてしまいます。隕石が衝突するとクレーターを作りますが、衝突の周辺の地域の地面が溶融していた形跡はありません。ちなみに、地球の中心部の定常温度は最高で7000℃であり、0.63 eV の電子状態に相当します。地球の中心部の温度をそのような状態にするのは衝突のエネルギーではなくて、集積した物質の性質によるとして説明できます。
地球の地下深くなるほど電子軌道間の相互作用が大きくなり、より低いエネルギーの状態が可能になります。熱運動により隣接原子を交換して置かれた状況に適した物質になることが可能であれば物質はその変化をします。物質はエネルギーが低い状態になる時に、前後の差のエネルギーによって発熱します。その熱はマントルを経由して地殻に放出されます。熱の移動に伴って物質も移動するのでマントル対流が起こります。その対流は海のプレートの下のマントルの方が大陸の地殻の下より放熱が盛んであるので、海底に湧き出します。
地球の深い内部の物質の性質は次のようになります。地球内部の高い圧力で物質の電子軌道がオーバーラップすると、同じエネルギーレベルに複数の電子軌道が存在する縮重状態になります。縮重した電子状態は電気伝導性と流動性を持ち、その物質は液体金属のような性質を示します。それが地球内部の外核の状態です。ところが物質の縮重状態の電子のエネルギーレベルは原子の配置の対称性を低くすると分裂して、さらに低いエネルギーの電子状態が得られるというヤーン・テラー効果があります。そのヤーン・テラー効果によって横波を伝える固体の状態になったのが地球の中心部の内核の状態です。
このように集まった物質の電子状態を考慮して次の事柄を説明しました。 (1)マントル対流の熱源、(2)海のプレートが沈み込む付近の火山の熱源、(3)地球の外殻の液体の状態、(4)地球の内核の固体の状態、 (5)太陽系の形成、及び(6) 地球型惑星の形成。詳しくは以下のWebsite をご覧ください。
(https://www.youtube.com/watch?v=Wi5G2F_pDXM&feature=youtu.be )