日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-MP 岩石学・鉱物学

[S-MP43] 変形岩・変成岩とテクトニクス

2016年5月25日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*河上 哲生(京都大学大学院理学研究科)、針金 由美子(産業技術総合研究所)

17:15 〜 18:30

[SMP43-P05] SEM-EBSDで得られる結晶方位とSEM像方位の不一致について

*三宅 亮1瀧川 晶1,3伊神 洋平1大井 修吾2中村 隆太1土山 明1 (1.京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻地質学鉱物学教室、2.滋賀大学 教育学部、3.京都大学白眉センター)

キーワード:SEM-EBSD、結晶方位

近年、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope: SEM)に、電子線後方散乱回折(electron back-scattering diffraction: EBSD)検出器を取り付けることにより、SEMの中で特定の微小領域から結晶方位などの結晶学的な情報を得、さらには岩石を構成する鉱物の結晶方位の配向性をえることが盛んに行われている。
このSEM-EBSDを用いて、EBSP (electron back-scattering diffraction pattern) を取得し解析する場合、EBSP取得に関しては購入メーカーが提供するソフトを使い、解析に関してはメーカー既存のソフトや国内外の研究室が提供している解析ソフトを使用することが多い。一方、メーカー提供のソフトについては、El-Dasher et al. (2009)などによって、得られるSEM像とEBSPから得られた結晶方位との関係が正しくないという、問題が指摘されている。しかし、こうした指摘について周知されていない。そこで、我々の研究室において、SEM像とEBSPから得られた結晶方位との関係について、改めて検証を行ったので、その結果について報告を行う。
当研究室で用いたSEM-EBSDシステムは、SEMが日本電子株式会社製JEM-7001F、EBSD検出器がオックスフォード・インストゥルメンツ株式会社製HKL channel 5 である。
試料としては、Siおよびコランダム単結晶を用いた。ここで、Si単結晶は少し傾斜させて試料台にセットすることにより、a軸方向の向きとSEM像との関係がわかるようにした。この時用いる試料はSi結晶のような立方晶系ではなく、コランダムや石英など、c軸が分かる試料を用いると、SEM像と結晶方位の関係が非常にわかりやすくなる。
我々の研究室において、検出器メーカー提供のソフトHKL Channerl 5を用いて取得・解析を行ったところ、SEM像を180度回転させることにより、得られたSEM像とEBSPから得られた結晶方位とが正しくなることが分かった。この結果は、El-Dasher et al. (2009)にて報告されている結果と同じである。
発表当日は、他のSEMとの組み合わせについても発表する予定である。