日本地球惑星科学連合2016年大会

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セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS24] 地震予知・予測

2016年5月26日(木) 15:30 〜 16:45 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*中島 淳一(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)

15:30 〜 16:45

[SSS24-P05] 東南海地震が先、南海地震(の前半のイベント)は同時か後~発生の「仕組み」を特定(あいまいな「連動」を追放)~

*間瀬 博文1 (1.なし)

紀伊半島下のスラブの右回転が東南海地震そのものであり隣接する大地震も単純なプレート境界地震でないことを説明した(1)(2)(3)。今回は回転中心付近の詳細を研究した。南海地震の前半の、東南海より先に暴発できない仕組みの駆動部であった。(図面参照)(沈み込みプレート・スラブを下盤、下盤より上を上盤と呼ぶ)
断面図で上盤内の地震分布(4)曲線は、トラフのはるか手前で下盤に落下(降着部)しており不思議である。これは下盤の動きと大差がある場合上盤は結局独立しておれず追従するからと考える。降着部より海側はほぼ一体として振舞うからこそ地震の二重線は存在しない。相対的に東へ流れるマントルが下盤の縁を直接押し右回転させる力が回転駆動力(1)で、反作用は広く発生するが象徴的な6個で代表させた(Fig.1)。回転中心(支点)より西方(Area Aと呼ぶ)では反作用で確かに東西伸張域である。東西伸張域の境界と降着部はほぼ一致している(Sec.y1~Sec.y4)。つまりこれより海側(Area D)は東西伸張ではない。
支点より東方(Area B)では(Sec.y5~Sec.y8)、浅部より急降下しほぼ水平部を形成後下盤に合流し降着部となる。回転を伴い這い上がる下盤は前もって旋回させた上盤を擦りつつ巻き込み同化するからこそ水平の準備区間(旋回面)が形成されるのであろう。Fig.2で旋回面を黄色着色領域で、降着部を灰色着色領域(オレンジ色破線は中心線)で表示した。さらに東方(Area C)では降着部を確認できない(Sec.y9~Sec.y10)。ここでは下盤の回転が緩やか(半径大)で上盤が捕捉拘束される程でないからだろう。
高密度な「高速度体」が半島に接して上盤下盤を貫く(各図参照)(5)。頭部と胴体からなるヒト形で深度40kmが首である。頭部は円盤の如く深度25kmで全周が張り出すが西へなびく。Area Bでの運動と圧力は既存の「高速度体」を削る場合と逆に肉付けする場合があろう。首(Fig.1、深度40km青色着色)は細りながら止まるコアと考える。下盤はコアとの衝突で内回転(Area B)と外回転(Area C)に分かれ外回転は大回り(Fig.1、黒色破線矢印)なのでコアより南では東西分離必至である。海底に見えるCrack(c)(Fig.1,Fig.2、灰色実線)(6)がそれであろう。一方両盤の擦れ合いが碾臼の合面の如く圧力や密度増加をまねき、円盤状の頭部を形成すると考えるが深度25kmにて面対称ではない(Fig.1,Fig.2、ループ状コンタ)。上半分は南と西への物質の偏りが目立つ。
それを単純なモデル計算で浮き彫りにした(Fig.3)。内回転外回転分岐点であるコアの北端で極小値を得た。新宮-那智勝浦とフロント海底に相当し裂かれたり崩れた様な地形である(6)(Fig.2)から調和的である。一方南から西にかけては値が大きいが内回転はそれらへ物質を運ぶので矛盾しない。ところで地震分布(4)はある位置でガクンと下がっている(Sec.xn,Fig.1,Fig.2、赤色破線)。下盤は内回転による物質の集積を段差形成で吸収するようで、以下の疑問への答えになろう。極大値の部分はさすがに高地であるが青色星印の辺りは低地(6)(Fig.2)。下半分のループ状コンタに顕著な特徴がなく下盤の変動が相対的に見えにくい疑問に対しても、「上部からの物質の補填や圧力の有無が関係する」と共に答となる。なお、極大値の部分より西方は赤色破線を越えて高地が続く(6)(Fig.2)が上盤構成物質の堆積場になっている故と解釈したい。
Fig.2の赤色矢印は、白浜が水色円の接線で円中心が固定点のような地殻変動ベクトル図(7)である。何も手を加えてない。正に内回転外回転が示された観測データである。東南海地震は赤色星印にて下盤の潰れから始まった大規模な範囲での右回転だった(1)(Fig.1)。これは外回転である。一方碾臼の合面の干渉が主体の本格的内回転には下盤の回転可と浅部進行可が必要、つまり外回転部分からの押圧軽減と浅部での先行破壊がほしい。東南海の2年後に青色星印から始まった南海地震(8)(9)以外にこの内回転の候補があろうか。このとき破壊はArea Aの降着部の西端まで及んだとしてむしろ当然で、これがイベント全体の前半(9)相当と考える。
(1)間瀬/JpGU2014/SSS29-P10 (2)間瀬/SSJ2014秋/S08-P11 (3)間瀬/JpGU2015/SSS31-P15 (4)AIST/地下構造可視化システム/気象庁震源カタログ/1995-2015/≧M1 (5)AIST/地下構造可視化システム/トモグラフィデータby Abdelwahed and Zhao (2007)dVp (6)海保海洋情報部/プレート境界域の精密海底地形図 (7)国土地理院/最新の地殻変動情報/水平2005/10月期~2015/10月期固定中村 (8)~図面に記載