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[SSS25-11] 2015年大分県南部地震(Mj5.7)における大分県周辺の長周期地震動シミュレーションと地下構造モデルの検討
キーワード:地震動、大分、2015年大分県南部地震、長周期地震動、シミュレーション、差分法
南海トラフによる巨大地震や、別府湾から大分県西部にかけての別府-万年山断層帯による地震の被害が懸念される大分県付近を対象に、陸海地形と海水を含む地下構造モデルを用いて長周期地震動のシミュレーションを行い、地下構造モデルの検討を行った。使用した地下構造モデルは以下の通りである。陸上地形は50 mメッシュ数値地図(国土地理院)、海底地形はJTOPO30v2(海洋情報センター)と別府湾周辺の90 mメッシュDEM(大分県)を用いた。地盤構造は、防災科研が公開しているJ-SHIS深部地盤構造モデルを使用した。このモデルでは、愛媛県佐田岬北側~別府湾~大分平野~豊後大野にかけて厚い地盤が存在している。また、島弧地殻、島弧マントル、フィリピン海スラブは地震調査研究推進本部による全国1次地下構造モデル(暫定版)を使用した。ただし、フィリピン海スラブ内の物性値は、深さ依存する馬場・他 (2006)の提案するものを用いた。解析した地震は、2015年7月13日2時52分(日本時間)に発生した大分県南部地震(Mj5.7)である。気象庁による震源の深さは58 kmで、震源メカニズムは北北西―南南東方向と東北東―西南西方向に節面を持つstrike-slipである。観測波形に周期2~20秒のバンドパスフィルタを施したところ、震央距離約35~55 km付近で特に震動継続時間の長い後続波が観測された。この地震について、差分法(HOT-FDM, Nakamura et al., 2012, BSSA)を用いて地震動シミュレーションを実施した。震源は点震源とし、震源の深さを検討するために6通りの深さを仮定した。差分の空間格子間隔50 mで、50秒間の地震動を計算した。観測波形と同様のフィルタを適用し、相互相関係数を用いて観測波形との一致度を定量的に評価した。その結果、震源深さを48 kmとしたケースの計算波形が観測波形と最も良い一致を示したことから、震源の深さを海洋性地殻第3層内の48 kmに決定した。この震源の深さによる計算波形においても、震央距離約35~55 km付近の顕著な後続波が再現された。観測波形と計算波形の一致度が全成分で低かった地域は大分平野周辺や火山性丘陵・火山山麓地周辺であった。また、NS成分のみ一致度が低かった地域は震央付近の谷底低地であった。これらの地域の波形の再現性に、地下構造モデルのどの部分が影響しているかをより詳しく見るために時間周波数解析を行った。その結果は、その地域周辺の特に地盤内のモデルの改良の必要性を示唆している。
謝辞:本研究の一部は、文部科学省委託「別府―万年山断層帯(大分平野―湯布院断層帯東部)における重点的な調査観測」(代表:京大・竹村恵二教授)の一環として実施しました。大分県をはじめデータをご提供頂きました各機関に感謝申し上げます。
謝辞:本研究の一部は、文部科学省委託「別府―万年山断層帯(大分平野―湯布院断層帯東部)における重点的な調査観測」(代表:京大・竹村恵二教授)の一環として実施しました。大分県をはじめデータをご提供頂きました各機関に感謝申し上げます。