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[SSS25-P11] 大規模並列計算による2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の長周期地震動シミュレーション
キーワード:並列計算、差分法、2011年東北地方太平洋沖地震、長周期地震動
2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)では、KiK-net此花(大阪)をはじめとする日本全国の地震観測点で長周期の地震動記録が得られた。各地で観測した長周期地震動の再現性や伝播過程を明らかにすることは、今後、深部地盤のS波速度構造の高精度化や、南海トラフ等で発生する大地震の強震動予測を検討する上で欠かせない。本検討では、日本全国を対象領域とした長周期地震動シミュレーションのために、領域分割に基づいて並列計算を行う三次元差分法の地震動計算コードを作成した。作成したコードを用いて3.11本震による長周期地震動シミュレーションを行い、まずは首都圏で得られた周期2~10秒の観測記録の再現を検討した。
三次元差分法による地震動の並列計算を効率的に実施するために、3台の計算機を配備し、各ノードにintel製のCPU(E5-2690v3, 12コア)を2つ、192Gbyteのメモリを搭載した。伝送速度40GbpsのInfinibandで3ノードを接続し、MPIを用いたノード間通信によって最大72並列を可能とする計算環境を整備した。並列計算は、各ノードに搭載した多数のコアを有効活用するために、3次元の領域分割により行い、ノード内通信もMPIを用いた。簡単な例題を対象に並列化効率を調べたところ、32並列の場合に約15倍のスピードアップが得られた。16ノードで構成される別のPCクラスタ(16ノード×2CPU×8コア)を用いた場合では、64並列の場合に約60倍のスピードアップが得られ、全体の実行時間をほぼ期待通りに短縮できることを確認した。
3.11本震の長周期地震動シミュレーションは、周期2~10秒の震源特性に対する点震源の適用性を検討することを目的として、野津(2012)による疑似点震源モデルを用いて行った。全ての点震源についてすべり角90度を仮定し、タイムウィンドウ数を1つとしたTriangle型の震源時間関数を用いた。ライズタイムは野津(2012)のコーナー周波数に基づいて設定した。深部地盤のS波速度構造モデルは地震調査研究推進本部(2012)を用い、水平600km×300km、上下約100kmを計算領域として、水平0.2km、上下0.1~1.0kmのグリッド間隔で離散化した。計算に用いた合計の格子点数は約16億Gridであり、時間長を300s、時間間隔を0.005sとした計60001ステップの計算を2日弱で終えた。観測記録とシミュレーション結果の周期2~10秒を比較したところ、点震源を用いていることもあり、首都圏で観測した周期6秒程度以上の振幅を過小評価するが、スペクトルの形状は良く似た結果が得られた。観測記録には茨城県南部で励起した周期6~10秒の表面波が首都圏に伝播した様子が認められるが、振幅を除けばその特徴も概ね再現されることが分かった。引き続き、3.11本震の震源モデルの調整と、長周期地震動の伝播特性の分析について検討予定であると共に、作成した並列計算コードを地球シミュレータに実装中である。
三次元差分法による地震動の並列計算を効率的に実施するために、3台の計算機を配備し、各ノードにintel製のCPU(E5-2690v3, 12コア)を2つ、192Gbyteのメモリを搭載した。伝送速度40GbpsのInfinibandで3ノードを接続し、MPIを用いたノード間通信によって最大72並列を可能とする計算環境を整備した。並列計算は、各ノードに搭載した多数のコアを有効活用するために、3次元の領域分割により行い、ノード内通信もMPIを用いた。簡単な例題を対象に並列化効率を調べたところ、32並列の場合に約15倍のスピードアップが得られた。16ノードで構成される別のPCクラスタ(16ノード×2CPU×8コア)を用いた場合では、64並列の場合に約60倍のスピードアップが得られ、全体の実行時間をほぼ期待通りに短縮できることを確認した。
3.11本震の長周期地震動シミュレーションは、周期2~10秒の震源特性に対する点震源の適用性を検討することを目的として、野津(2012)による疑似点震源モデルを用いて行った。全ての点震源についてすべり角90度を仮定し、タイムウィンドウ数を1つとしたTriangle型の震源時間関数を用いた。ライズタイムは野津(2012)のコーナー周波数に基づいて設定した。深部地盤のS波速度構造モデルは地震調査研究推進本部(2012)を用い、水平600km×300km、上下約100kmを計算領域として、水平0.2km、上下0.1~1.0kmのグリッド間隔で離散化した。計算に用いた合計の格子点数は約16億Gridであり、時間長を300s、時間間隔を0.005sとした計60001ステップの計算を2日弱で終えた。観測記録とシミュレーション結果の周期2~10秒を比較したところ、点震源を用いていることもあり、首都圏で観測した周期6秒程度以上の振幅を過小評価するが、スペクトルの形状は良く似た結果が得られた。観測記録には茨城県南部で励起した周期6~10秒の表面波が首都圏に伝播した様子が認められるが、振幅を除けばその特徴も概ね再現されることが分かった。引き続き、3.11本震の震源モデルの調整と、長周期地震動の伝播特性の分析について検討予定であると共に、作成した並列計算コードを地球シミュレータに実装中である。