14:15 〜 14:30
[SSS27-03] 南アフリカ大深度金鉱山の地質断層上で観測されたRepeating Earthquakeの出現と消失
キーワード:微小破壊、誘発地震、繰り返し地震
採掘による応力集中が原因でM 3程度までの誘発地震が多発する南アフリカCooke 4金鉱山地下1 kmにおいて,ある地質断層を取り囲むように,高感度AEセンサ30台,加速度計計7台を埋設し,微小破壊(Acoustic Emission; 以下AE)の観測を行った(Naoi et al. 2014).Naoi et al.(2015)は,この観測で得られた2ヶ月間のデータを解析し,この断層上で–5.1 ≤ Mw ≤ –3.6のRepeating earthquakeが発生していることを明らかにした.本研究では解析期間を14ヶ月間に延長し,これらのRepeaterのより長期の挙動を調べた.
まず,同断層沿いで2011年4月7日から2012年5月30日までの約14ヶ月間に発生した5869個のAEに対して波形相関を用いた走時差の再読み取りを行い,Double-Difference法(Waldhauser and Ellsworth, 2000)を用いて震源を再決定した.得られた再決定震源のうち,面状の分布を示す震源の近似面から3 m以内に震源が求まった3735個のイベントを以降の解析対象とした.これら3735イベントのうち,震源間距離が2 m以内となる全ての震源ペアに対して波形の相互相関係数を計算し,そのとき稼働していた観測点の2割以上で相互相関係数が0.9以上かつ,マグニチュードから推定したイベントの破壊域がよく重なるものをRepeaterペアと認定した.最後に,互いに共通のイベントを持つRepeater ペアをグルーピングした.この解析によって,全部で308個のRepeater groupが見つかり,3735イベント中1328イベント(35.6%)がRepeaterと認定された.最大のgroupは45個の震源で構成されており,非常に多くの繰り返しが確認できた.
得られたrepeater groupには,14ヶ月の間活動を続けたgroup (Type A)もあったが,観測期間中に新たに活動が始まるgroupや(Type B),途中で活動が停止するgroup(Type C)も見つかった.10 m程度の範囲にわたってType B, あるいはType Cしかみられない領域がみつかっており,それぞれ,マクロなslow slipが新しく開始した場所,停止した場所に対応すると考えられる.一方,Type A–Cが,数m程度の狭い領域に混在している場所も存在した.また,このような場所で起こるType Cの複数のGroupで,Mwが時間とともに低下するものがみつかった.このような領域におけるRepeaterの出現は,クリープの進展による断層面上の突起部のかみ合わせが新たに生じたり,摩耗などによって解消する過程といった,不安定なパッチの形成・消失に対応している可能性がある.
まず,同断層沿いで2011年4月7日から2012年5月30日までの約14ヶ月間に発生した5869個のAEに対して波形相関を用いた走時差の再読み取りを行い,Double-Difference法(Waldhauser and Ellsworth, 2000)を用いて震源を再決定した.得られた再決定震源のうち,面状の分布を示す震源の近似面から3 m以内に震源が求まった3735個のイベントを以降の解析対象とした.これら3735イベントのうち,震源間距離が2 m以内となる全ての震源ペアに対して波形の相互相関係数を計算し,そのとき稼働していた観測点の2割以上で相互相関係数が0.9以上かつ,マグニチュードから推定したイベントの破壊域がよく重なるものをRepeaterペアと認定した.最後に,互いに共通のイベントを持つRepeater ペアをグルーピングした.この解析によって,全部で308個のRepeater groupが見つかり,3735イベント中1328イベント(35.6%)がRepeaterと認定された.最大のgroupは45個の震源で構成されており,非常に多くの繰り返しが確認できた.
得られたrepeater groupには,14ヶ月の間活動を続けたgroup (Type A)もあったが,観測期間中に新たに活動が始まるgroupや(Type B),途中で活動が停止するgroup(Type C)も見つかった.10 m程度の範囲にわたってType B, あるいはType Cしかみられない領域がみつかっており,それぞれ,マクロなslow slipが新しく開始した場所,停止した場所に対応すると考えられる.一方,Type A–Cが,数m程度の狭い領域に混在している場所も存在した.また,このような場所で起こるType Cの複数のGroupで,Mwが時間とともに低下するものがみつかった.このような領域におけるRepeaterの出現は,クリープの進展による断層面上の突起部のかみ合わせが新たに生じたり,摩耗などによって解消する過程といった,不安定なパッチの形成・消失に対応している可能性がある.